ききみみ 音楽ハンター

「愛の不時着」が異例の大ヒットで、韓国ドラマOSTは新フェーズへ

[ 2020年11月1日 05:30 ]

「愛の不時着」など韓国ドラマOSTの国内盤を手掛けるキングレコードの渡菜保子氏
Photo By 提供写真

 韓国ドラマの劇中歌やインストを集めたオリジナル・サウンド・トラック、略して「OST」。今年、日本で大ブレークしたドラマ「愛の不時着」のOST(日本盤)は異例のヒットとなった。販売元・キングレコードの渡菜保子ディレクターは「太陽の末裔」(2012年)を皮切りに、同社のOST市場を開拓してきたが、「愛の不時着」は「正直、チャレンジでした」と明かした。

 作品の知名度あってのOST。同作は日本では定額配信サービス「Netflix」での独占放送で、過去に同様の形でヒットしたドラマはなくOST売り上げも未知数だった。だが、コロナ禍で在宅時間が増え同サービス契約者が急増。有名人の口コミもありドラマはヒットし、OSTの予約や問い合わせも通常の20倍にのぼったという。

 1万枚でヒットとされるサントラ市場で1万5000枚のセールス。渡氏が驚くのは、発売わずか5カ月で達成した点だ。通常、韓国ドラマはCS放送で人気が出ればBS、さらに地上波という流れで徐々に視聴者を拡大。OSTも長期間で徐々に数を伸ばす。今回は「国内契約者500万人とも言われるNetflixで韓流ドラマになじみのない男性や若い人も視聴し、一気に話題が広がった」と分析した。

 CDは名場面や未公開写真を集めた豪華ブックレットや対訳付き歌詞など、配信では得られない付加価値満載。ファンの心をつかみ、SNSには「久々にCD買った」との声も。今後の注目作は「人気俳優パク・ボゴム入隊前最後の作品『青春の記録』。今は韓国と同時期に日本でも放送を見られるいい時代です」と渡氏。視聴環境の変化で愛好者の幅が広がり、新たなフェーズに入ったと言える韓国ドラマとOST市場。次なるヒット作も大いに期待できそうだ。(萩原 可奈) 

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