ききみみ 音楽ハンター

「スキマとYAMA-KANのスイッチオン」 笑いあり、涙あり…KANは本物のエンターテイナー

[ 2020年12月6日 05:30 ]

大阪城ホールで開かれたライブイベント「スキマとYAMA-KANのスイッチオン」
Photo By 提供写真

 シンガー・ソングライターKAN(58)は最高級のエンターテイナーである。という話は以前にも書いた。何も歌や踊りが抜群ってだけが一流ではない。笑いや涙、あらゆる感情を引き出す人こそ凄い、と私は思う。先月末、大阪城ホールで開かれたイベント「スキマとYAMA―KANのスイッチオン」でもKANに笑い、KANに泣いた。

 山崎まさよし(48)、「スキマスイッチ」とのコラボ公演だ。ヴァン・ヘイレン「JUMP」の有名イントロで幕を開けたはいいが同曲の伴奏のまま、まさかの「セロリ」を山崎がドラムをたたいて熱唱。スキマのボーカル大橋卓弥(42)がキーボード、同ピアノの常田真太郎(42)がベース、KANがギターを担当し、観客はレアな姿に感激した。想像するに、アイデアマンのKANがセロリの歌詞のように「やれるだけ頑張ってみてよ」と、3人に〝ムチャぶり〟したに違いない。

 逆再生マシンで笑わせたり、ラウンジでカラオケを歌う風情のコーナーがあったり、とにかく〝遊び〟が多い。KANが仕掛けるおふざけは音楽レベルが非常に高く、共演者も戦々恐々だろう。KANに付き合えるミュージシャンもまた度量が広く、技術が高い。

 中盤、KANは最新アルバム「23歳」の収録曲「エキストラ」を披露。美しいメロディーとサビの「大好きです、好きです」というシンプルなメッセージに胸が熱くなる。散々笑わせた後のバラードはズルい。山崎やスキマスも〝本気曲〟で魅了。見事なライブだった。

 コロナ禍の中、KANは「お客様の前で演奏するのは10カ月半ぶり」と語り、「よくぞ来てくれました」と感謝。来年の今ごろは、こんなステキな公演を当たり前に観られる世の中に戻っていて欲しい。 (萩原 可奈)

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