ききみみ 音楽ハンター

フジファブリック 未来を見据えた15周年大阪城ホールライブ

[ 2019年11月3日 05:30 ]

大阪城ホール公演を行ったフジファブリック(撮影:渡邉一生/森好弘)
Photo By 提供写真

 3人組バンド「フジファブリック」が先月20日、大阪城ホールでデビュー15周年ライブを開催した。ボーカル・ギターの山内総一郎(38)にとっては地元凱旋(がいせん)。ファンへの感謝を込めた新曲「プレゼント」を初披露するなど、熱い公演となった。

 順風満帆の15年ではなかった。初期はメンバーの加入、脱退などを繰り返したが、何より運命を変えたのは2009年。ボーカル・ギターの志村正彦さんが29歳で急死した。同バンドの発起人で、大半の楽曲の作詞・作曲を担当した主要人物。「若者のすべて」など今も愛される名曲を生み出し、同業者の評価も高かった志村さんの早過ぎる死はメンバー、ファンや音楽界に衝撃を与えた。

 それでも残された山内、キーボード金澤ダイスケ(39)、ベース加藤慎一(39)は活動を続けた。山内はボーカルを引き継いだ。今公演で山内は「15年間もがき続けて音楽を作ってきたけど、今夜来てくれた一人一人に救われた気がします。志村君が作ってくれたこのバンドは絶対に解散しません」と力強く語った。

 今回、志村さんやメンバーの地元で公演し、トリが大阪。大阪城ホールは山内の目標の場所だった。観客として初めて訪れ、スタンド席から見たステージは遠かった。直後、友人に「俺な、絶対に大阪城ホールでライブやるねん」と誓った。

 記念すべきライブでは、円広志の楽曲をカバーするなど大阪ならではの演出も。ノリのいい曲、心に響く曲…色鮮やかに、自由に情景を描き出した。でも、これがゴールじゃない。大舞台を踏み、今後に向け気が引き締まったという3人。感慨にひたるより、未来を見据えているようだった。(萩原 可奈)

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