ききみみ 音楽ハンター

大西ユカリ ピンチ乗り越え、トークも歌もさらに“味”増した

[ 2018年8月5日 10:00 ]

6月、アルバム「BLACK BOX」を発売

歌もトークも“味”が増した大西ユカリ
Photo By スポニチ

 2000年代初頭、「大西ユカリと新世界」で昭和歌謡ブームに火を付けた浪速のシンガー・大西ユカリ(54)。子どもの頃流行したのは新御三家で、特に野口五郎が好きだった。その後シャネルズを入り口に黒人音楽にハマッた。6月、原点となる洋楽をカバーしたアルバム「BLACK BOX」を発売。本領発揮の歌声は必聴だ。

 同作ではロバータ・フラックの「キリング・ミー・ソフトリー・ウィズ・ヒズ・ソング」などを選曲。甲本ヒロトや山崎まさよしら豪華歌手との共演も話題だ。「CDデビュー20年の節目に自分のルーツを作品に残すのもええなと思った」。

 昭和歌謡を歌う以前から、関西のソウル、ゴスペル界では有名な存在だった。アフロヘアにド派手な衣装。「イロモノ扱いされるで」という周囲の忠告にも、「こっちは本気も本気。やるからには振り切らんと」と貫いた。無二の個性と歌唱力でファンは増えた。

 抜群のトーク力でラジオでもレギュラーを務めたが数年前、「仕事がゼロになった」。その時期は「デイサービスのバイトを週3、4日してた」と、あっけらかんと笑う。歌手の誇りを捨てたのか、と思った人には「逆だ」と言いたい。今月で156回を数える月1ライブ「大西ユカリショー」は、当時も継続した。「経費の足しにするにも働かんと」と日中に介護の仕事、夜はいつでもライブができるよう空けた。生きるため、歌うための選択だった。

 今は再びラジオのレギュラー番組を得た。「無駄な経験はない」と語る。ピンチをたくましく乗り越えた大西の歌、トークはより味を増すに違いない。(萩原 可奈)

 ★大西の楽曲は、8月8日のMBSラジオ「子守康範 朝からてんコモリ!」7時台で紹介します。

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