ききみみ 音楽ハンター

平松愛理~音楽人生で最もキツかった続編制作~

[ 2019年10月6日 05:30 ]

平松愛理の話題の新曲「部屋とYシャツと私~あれから~」
Photo By 提供写真

シンガー・ソングライター平松愛理(55)が、1992年も大ヒットした自作曲の続編「部屋とYシャツと私~あれから~」を発売した。メロディーはそのままに歌詞を変更。歳を重ね夫婦関係も変化した主人公が語る言葉は、原曲と聴き比べると笑える。だが、制作過程はこれまでの音楽人生で「一番キツかった」と断言するほど、平松には笑えないものだった。

 原曲と同等に納得できる作品にしたいと、同年代の主婦らを徹底取材。就寝時は夫婦別室、子供最優先…など、大多数が口にしたキーワードを書き出した。原曲の歌詞で続編に残すべき言葉もあり、「ゼロから書くよりも大変でした」。

 作詞はパソコンを使わずノートに手書き。書き替える際は、前の言葉に線を引き新たな言葉を書き足す。今回はノートが真っ黒になるほど修正を重ねた。「もうノートじゃ整理しきれなくなって、A4用紙をつなげて巨大な紙を作り、床に広げて書いた。それをイスの上から俯瞰(ふかん)し、修正したい歌詞の場所があればピョーンと移動して書く。ムササビみたいに飛び回ってましたよ」と苦笑い。完成に半年以上もかかった。

 原曲では、夫が浮気したら「毒入りスープで一緒にいこう」と言う。これも衝撃的だったが、続編では子供を守るため「特製スープ ひとりで逝って」と宣告。母は強し、だ。「いく」も漢字表記になりよりリアル。肝が据わった妻の変化が随所に感じられる。曲を聴いた男性陣から「さらに怖くなった」と言われると、「よっしゃー!と思う」と笑った。

 だが両曲に共通するのは「だんな様を大好きって所」。いろいろあっても結局変わらぬパートナーへの愛情。同曲が好まれる一番の理由は、そこにある。(萩原 可奈)

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