ききみみ 音楽ハンター

佐々木秀実(下) ネタに事欠かない“シャンソン界の上沼恵美子”

[ 2018年2月5日 13:00 ]

歌声とともに人柄も愛されている佐々木秀実
Photo By スポニチ

 作詞家の故阿久悠さんに見出され、加藤登紀子もほれ込んだシャンソン歌手・佐々木秀実(37)。09年には関西系の情報番組「とくダネ!」のコメンテーターも務めた。“シャンソン界の上沼恵美子”と例えられるラジオやライブでの楽しいトークが番組スタッフや司会・小倉智昭に買われての抜てきだった。

 話術に加え、ネタになる珍事に事欠かない。大阪での思い出はこうだ。打ち上げで散々飲み、夜中3時にホテルに到着。シャワーを浴びた後、自宅と勘違いしてドアを開けて部屋の外へ。我に返るもドアはオートロック。廊下に真っ裸で閉め出され、酔いは一気に醒めた。4階上のマネージャーの部屋に行くか1階下のフロントに行くか。迷った末、途中で廊下に飾られた植物を拝借して大事な部分を隠し、階下へ。フロントのカウンターから顔だけ出して事情を説明。「一生忘れない」と振り返り、爆笑した。

 堀越高校時代はV6の岡田准一、俳優高橋一生とクラスメートというこれまた興味深い逸話を持つ。通学電車ではスターの岡田が周囲に気づかれぬよう、まだ売れていなかった高橋と佐々木でガード。岡田宅に集まり越路吹雪のDVDを観たこともあった。高橋とは今も交流。昨年、雑誌「anan」で裸体を披露した高橋に「いっちゃん見たわよ、脱いでたわね」と電話した。高橋は遅咲きの大ブレークにも「たまたま一時の事。一生役者やってたいから、今おごって人生狂ったら意味がない」と冷静に話していたという。

 今回の取材でしみじみ思った。愛情に飢え、友情やエディット・ピアフの歌に救われ、泣いて笑った半生が、佐々木のあの温かい歌声を構成し、味わい深い歌手たらしめている。(萩原 可奈)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る