ききみみ 音楽ハンター

【山猿】福島から地元の魅力を発信

[ 2017年3月13日 05:30 ]

故郷・福島への愛着を語った山猿。4月には新アルバムもリリース
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 東日本大震災から丸6年が過ぎた。歌手・山猿(32)は当時住んでいた宮城・仙台市内で被災。避難所生活を送りながら音楽活動を続けた。現在は故郷・福島県に住み、音楽を通じて地元の魅力を発信し続けている。

 2010年、「LGMonkees」としてデビューし、家族の絆を歌う「3090〜愛のうた〜」が泣けると評判に。14年10月、音楽活動開始当初に名乗った「山猿」に改名。昨年には、自ら監督した楽曲「Happy Birthday」のミュージックビデオ(MV)が話題を呼んだ。ロケ地は福島県で出演者やスタッフも全員同県人。出演依頼、撮影地やケータリングの手配も自ら行い、「日本一制作費がかかっていないMVかも」と笑う。美しい景色や人の絆が描かれ、地元愛にあふれている。

 昨年、同県観光大使に就任した。「昔は会津若松の田舎町が嫌いで都会にあこがれたけど、震災を機に愛着も増した」といい、「今は季節の変化が山の色で分かるこの町が好き」と語る。東京まで4時間かかる不便な場所だが、地元から離れる気はないそうだ。

 ちょっと近寄りがたい見た目に、「怖いとよく言われる。街でもティッシュを配る人が僕を避ける」と苦笑い。話すと素朴で気さくないい人だ。昔は近所の人と話すキャラではなかったが、震災を機に「東北の人は皆家族と思え、よくしゃべるようになった」。歌詞にも大切に日々を生きる思いが強く込められるようになった。震災がもたらしたいい変化だった。

 4月12日には新アルバム「あいことば4」を発売。常に音楽のテーマは「愛」だ。苦しみを知る山猿の愛ある言葉の数々は、東北や全国で頑張る人々の心に届くはずだ。(萩原 可奈)

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