里見女流5冠 棋士編入試験不合格「自分自身、最後の挑戦」初の女性棋士ならず

[ 2022年10月13日 18:36 ]

棋士編入試験の第3局に臨む里見香奈女流5冠(日本将棋連盟提供)
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 里見香奈女流5冠(30)が13日、大阪・関西将棋会館で棋士編入試験5番勝負第3局に臨み、試験官の狩山幹生四段(20)に103手で敗れた。第1局から連敗で後がなかった里見は3連敗となり、不合格が決まった。

 14年に今泉健司五段(49)、19年に折田翔吾五段(32)が突破した現行制度。女性として初の挑戦は失敗に終わった。

 「自分自身、最後の挑戦。今後、考えることはないのかなと思う」。受験資格を得た後の6月以降、「公式戦で10勝以上かつ勝率6割5分以上」を再度満たせば、また受験資格を得る。現在5勝6敗のため7連勝すれば規定に達するが、ひとまずリセット。自身2度目の女流6冠へ王手をかける15日、都内での第2期白玲戦7番勝負第6局に集中する。

 戦型は後手・里見の十八番ゴキゲン中飛車。ところが盤面中央に金銀を配した狩山の手厚い指し回しに4段目へ浮いた里見飛車は動きを封じられ、飛車銀交換を迫られる。代償に9筋の突破を図ったがかなわず、駒損を広げて投了した。

 3勝すれば棋士を指す四段を獲得できたが、棋士番号順に選出した新四段5人との5番勝負は、第1局の徳田拳士四段(24)、第2局の岡部怜央四段(23)に連敗し、後がなかった。狩山には昨年12月、竜王戦6組ランキング戦で敗退。狩山が岡山県倉敷市から大山康晴15世名人以来81年ぶりに棋士になって2カ月後で、193手の熱戦だった。

 女流史上最多、通算49期の経験値が試されたが、厳しい現実を知った。「悔しい気持ちはあるが、実力と受け入れてこれからの糧にしたい」。棋士編入試験と平行して公式戦、女流棋戦も指したため、今年度の公式戦は8勝6敗、女流棋戦は24勝10敗。そして棋士編入試験が3局目で計51局目。棋士トップ、服部慎一郎五段(23)の39局を大きく上回った。

 「対局が多いのは間違いない。ただ、普段の力を発揮できなければ本当の強さじゃないのかなと思う」。第一人者の誇りが弁解を自らに許さなかった。

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2022年10月13日のニュース