「ちむどんどん」上白石萌歌の歌唱 「お芝居としての在り方を表現」

[ 2022年5月13日 08:20 ]

連続テレビ小説「ちむどんどん」第25回で、学校の音楽室で話す比嘉歌子(上白石萌歌)と下地響子(片桐はいり)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】13日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第25回で、女優の上白石萌歌(22)が演じる比嘉歌子が、女優の片桐はいり(59)が演じる音楽教師・下地響子の三線の伴奏で、沖縄民謡「芭蕉布」を歌う場面があった。

 演出した松園武大氏は「歌子の心が初めて下地先生の心と通じたシーンだ。片桐さんには半年くらい前から三線の練習していただいていた。あのシーンは1発撮りに近かったが、素敵なセッションになり、歌子と下地先生の心が通じ合った感じをあの歌の中に込めることができたと思う」と話す。

 下地は歌子の歌の才能を知り、音楽の道に誘おうと接近。ずっと逃げられていたが、歌子の兄・賢秀(竜星涼)の騒動を受け、第22回(10日放送)で、ついに自分の目の前で歌子に歌曲「椰子の実」を歌わせるに至った。

 松園氏は「あれは歌子が家族以外の人の前で初めて歌うシーンだった。歌子は人見知りの性格だが、家族のために勇気をふりしぼって歌う。現場で上白石さんとは『歌う前に家族と視線を交わし、家族の力を背中で受けて歌う』ということだけを話した。上白石さんはただ歌うのではなく、お芝居としての歌の在り方をちゃんと表現してくれて、私としては、それをきっちり撮るだけだった。歌声の美しさもさることながら、歌っているうちに伸びやかになっていくような、歌の中に自分が入っていくような表現が素敵だった」と語る。

 歌子はこれまで「椰子の実」「芭蕉布」のほか、フォークグループ「赤い鳥」が歌った「翼をください」(1971年発売)や故加藤和彦さんと北山修氏のフォークソング「あの素晴しい愛をもう一度」(71年発売)を1人で歌っている。

 松園氏は「上白石さんに、歌子だったらどのような歌い方をするのかという考えがあり、それを表現してくださっている。飾り気がなく素朴で、真っすぐな歌声で、そこにグッと来る。テレビを通しても素晴らしさが伝わっていると思うが、撮影現場で生歌を聞くとさらに素晴らしい」と明かす。

 下地の尽力によって開眼した歌子は今後、音楽の道を目指すことになるとみられる。上白石の劇中歌を聞く機会が多々ありそうで、これからどんな曲を歌うのか、歌唱法は変化するのか、見どころの一つだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年5月13日のニュース