渡辺名人 132手で勝利し開幕2連勝 名人戦第2局2日目 史上7人目の名人3連覇へ折り返し

[ 2022年4月20日 21:13 ]

連勝スタートの渡辺明名人(日本将棋連盟提供)
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 渡辺明名人(37)=棋王との2冠=が斎藤慎太郎八段(28)の挑戦を受ける第80期名人戦第2局は20日、金沢市の金沢犀川温泉「川端の湯宿 滝亭」で2日目が指し継がれ、午後8時12分、132手で後手渡辺が勝利した。第1局に続く連勝となった。

 「やるならあのタイミングと思った」。この日午前9時、開封された封じ手。斎藤王の頭上にある7、8、9筋の3歩を立て続けに突き捨てて開戦した。

 斎藤王と渡辺飛車が隣接する緊迫状態で突入した昼食休憩明け、さらに渡辺の攻勢が続く。飛車角桂香歩。金銀のない、少ない手駒で巧みに攻めをつなげ、ポイントを挙げていく。「夕食休憩では入王が気になった。そこをケアした」。手駒が少ないからこそ予想外の寄せで包囲網を築く、まさに名人芸が後手番でも発揮された。

 渡辺が番勝負に臨むにあたり、よく使うたとえにテニスがある。先手番を確実にキープし、後手番で1勝できれば番勝負を制することができる。棋界全体を通じ、勝率で若干劣る後手番でのいわゆる「ブレイク」。その意味で大きな第2局での1勝だった。

 名人戦3連覇まであと2勝とした。全8冠中、最古の歴史を誇る名人戦で3連覇以上した棋士は6人(12回)しかいない。大山康晴十五世名人の13連覇を筆頭に9連覇の中原誠十六世名人らが名を連ねる。一昨年、36歳3カ月と歴代4位の高齢で初めて名人位に就いた渡辺が、その金字塔へストレートで折り返した。

 獲得3期となれば5期で引退後、襲名できる永世名人(二十世)も視界に入ってくる。「いいスタートが切れた。また来月からやっていきたい」。第3局は5月7、8日、福岡市で指される。

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2022年4月20日のニュース