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「カムカム」オダギリジョー トランペットを持って現れる演技の力量

[ 2022年3月11日 08:15 ]

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第92回で、持ち出したトランペットを吹こうとする錠一郎(オダギリジョー)(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】11日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第92回で、俳優・オダギリジョー(46)が演じる錠一郎がトランペットを持って家族の前に現れる場面があった。

 錠一郎はかつて大阪のジャズ喫茶で、トランペッターとして活躍。東京の芸能事務所の社長らに見いだされて上京したが、突然、トランペットが吹けなくなってしまった。以来、錠一郎は音楽の道から離れ、トランペットが物語の中に登場することはなかった。

 演出の松岡一史氏は「トランペットはどこにあったのか、私たちの方で議論し、整理した上で演出した。どこにあったかは来週の放送で分かる」と話す。

 錠一郎がトランペットを持ち出したのは、家族が混乱に陥った場面。息子の桃太郎(青木柚)は高校教師の小夜子(新川優愛)に失恋したショックから窃盗に走り、娘のひなた(川栄李奈)は大部屋俳優の文四郎(本郷奏多)と別れて英会話の習得もうまくいかず、2人がケンカを始め、妻のるい(深津絵里)が仲裁に入った時だった。

 松岡氏は「そこに至るまでの錠一郎の表情が秀逸だった。オダギリさんは、最初は、ただただ驚いているだけの表情から、一気にトランペットを持って現れるモードにしてくださった。出口のためのお芝居をしていない。その場その場で素直な表情を積み重ねている。台本を読み、何も語ることなく、自然な形でそこに入っていただいたので、リハーサルの時、私もハッとした。さっきまで積み重ねていた表情とは全く違う表情でトランペットを持って現れた」と説明する。

 錠一郎が久しぶりに人前で手にしたトランペット。かつてのような美しい音色がそこから出るのか、出ないのか。松岡氏は「来週のお楽しみ」と話す。

 振り返れば、9日放送の第90回で、錠一郎が条映太秦映画村に、ひなたに別れを告げた文四郎を訪ねた場面も印象深い。

 松岡氏は「あの場面で、オダギリさんは優しくたたずんでくれた。途中で座る動き、最後に握手して終わるところは、実は、オダギリさんのアイデアだった。文四郎に心を開いていること、文四郎を受け止めているという姿勢を演技で出してくださった。オダギリさんが温かく包み込んでくれた現場だった」と明かす。

 オダギリジョーの役者としての力量を改めて示した今週の放送だった。
 
 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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