MBSが「維新寄り」放送で審議会「政治的公平性に対する認識が甘かった」

[ 2022年3月11日 17:06 ]

 毎日放送は、1月1日に同局で放送した特番「東野&吉田のほっとけない人」(関西ローカル)で、大阪市・松井一郎市長(57)、大阪府・吉村洋文知事(46)が、ゲストの元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)とトークした番組について、視聴者から「維新に偏ってる」「政治的中立でない」などと指摘されたことを1日に開かれた番組審議会で検証。その内容、調査結果を11日、同社の番組審議会ホームページに掲載した。

 佐藤卓己委員長ら8人の委員と、虫明洋一社長ら幹部社員14人の計22人が参加。番組制作を担当した制作スポーツ局は「高視聴率を意識しキャスティング。担当者の政治的公平性に対する認識が甘かった」とし、「番組内容をチェックする役割を担うアドバイザリー制度が、実態としては表現や用語のチェックに留まり、制作過程など番組全体の問題点まで網羅する機能を果たしていなかった」と問題点が挙げられた。

 総合編成局総合編成部では「管理職やチーフは政治的公平性についての意識は十分あったものの、現場に途中経過の報告を求めるなどの注意喚起が足りていなかったこと」などが判明。松井市長、吉村知事に出演交渉した報道情報局は「番組の内容に疑問は感じたものの、当事者意識が持てず、制作・編成現場が期待する、ニュースの視点から番組を見る、という役割に応えられていなかった」と説明した。

 検証の結果、「関西の視聴者の関心が高いゲストをお招きして、その方々の素顔を引き出すトークバラエティ番組」を制作する意図で3氏に出演依頼。「問題は面白さを狙って演出した飾り気のないトークが『視聴者には政治的に偏っていると映るのではないか?』と制作部門や編成部門で想像し、意見し、議論しなかったということにある。視聴者の大きな関心事について、設定、演出、配慮を十分に検討しなければならない。今回『番組編集の自由』を裏打ちする番組内容の多角的な精査や組織的な検討が圧倒的に不足していたことは、組織の課題として率直に反省するもの」とした。

 今後は「番組の担当局、担当者が、責任をもって民放連や自社の放送基準を順守した番組制作を実現していくことが基本であり、このことをあらためて全社で共有する」とし、「全社研修の実施」「アドバイザリーの強化」に努めていく方針を明かした。

続きを表示

2022年3月11日のニュース