「ただ今、コント中。」コント師サンドウィッチマンの凄み 演出も尊敬「一番真面目」台本クシャクシャに

[ 2020年12月29日 08:00 ]

「ただ今、コント中。」第2弾のコント「ダテちゃんマン」。ダテちゃんマン(伊達みきお・右)とプロデューサー(富澤たけし)(C)フジテレビ
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 お笑いコンビ「サンドウィッチマン」が座長を務めるフジテレビの大型コント特番「ただ今、コント中。」の第2弾が29日(後6・30~9・00)に放送される。今や「好感度No.1芸人」となった2人、伊達みきお(46)富澤たけし(46)の“コント師としての凄み”とは?数々のお笑い番組を手掛けてきた演出の有川崇氏に、収録の舞台裏とともに聞いた。

 今年8月にオンエアされた第1弾が好評を博し、サンドを中心に、キングオブコント王者「バイきんぐ」「かまいたち」、3時のヒロイン・福田麻貴(32)、「しずる」「わらふぢなるお」、狩野英孝(38)が再集結した。

 今回のゲストはパンサー・尾形貴弘(43)おばたのお兄さん(32)3時のヒロイン・かなで(28)アンタッチャブル・柴田英嗣(45)SixTONES・ジェシー(24)なにわ男子・西畑大吾(23)大西流星(19)藤原丈一郎(24)大橋和也(23)浜辺美波(20)堀田真由(22)松井玲奈(29)松本穂香(23)ゆきぽよ(木村有希、24)3時のヒロイン・ゆめっち(26)(※五十音順)。前回に続き、芸人、アイドル、女優と多彩な顔ぶれとなった。

 第1弾の話題作、富澤による韓国の音楽プロデューサー、J.Y.Park(49)のパロディー「T.T.Park」やサンドの2人がガラケーのエンジェルに扮する「ガラとケー」がパワーアップして登場。浜辺がコント初挑戦にしてギャルに扮する「新人ギャル」や松本が挑んだミステリー調の学園コント「死のメール」など約30の新作コントが並んだ。

 ここ3~4年、サンドのライブツアーも手掛ける演出の有川氏は「ネタに取り組む姿勢を尊敬しています。特に富澤さんは事務所や稽古場でガラケーをいじっているのですが、実は台本の言葉を打っているんです。また、お二人ともコントの台本をしっかり覚えてから現場入りしています。富澤さんは自分で録音してから繰り返し聞いて覚えるスタイル、伊達さんはお風呂の中で読み込んで覚えるまで出てこないそうです。だから台本がクシャクシャになっているんです。伊達さんから『台本を覚えないで現場に行ったら、有川さんに怒られた』と言われて。私は覚えていないんですけどね(笑)。今まで出会った芸人さんの中で、一番真面目だと思います」とサンドの努力家の一面を明かす。

 「もちろん、この『ただ今、コント中。』の現場も、お二人がきっちり台本を覚えてくるので、他のメンバーも自然とそうしてくれていました。座長は見本になるんですね」

 有川氏が台本にこだわるのは「コントは台本が命」だから。「コント番組は、芸人さんたちがネタを披露する番組とは違い、美術や技術も含めたスタッフ皆で作らないといけませんから、手間がかかります。例えば台本を作るのも、設定を考えて、最初の台本は15分くらいで作ったものを5分くらいにして、撮影してみたら10分になって…そこから編集で5分にする、という風に凝縮されています。予算もそうです。今回の『ただ今、コント中。』のセットも、コントごとに作っていただいて。1つのセットで1つのトーク番組ができるクオリティーのものばかりなんですよ」

 すべての出発点になるからこそ「毎回苦労しますが、コントの台本にはたっぷり時間をかけます。昔は一つの番組を作るのに、1回の会議で12時間かけたこともあります(笑)。それに比べたら今はずっと短くなりましたが、今回の『ただ今、コント中。』は放送の2カ月ほど前から毎週3~4時間は会議をしました」。有川氏の番組作りのモットーは“粘りとしつこさ。もっと良くなると信じて、やめないこと”。「だから、あと1時間、議論すれば、もっと良くなるんじゃないか、という風になってしまうんです」と笑いの高みを目指すがゆえの“性”を打ち明けた。

 「第1弾の放送が決まった時、富澤さんが『ザ・ドリフターズやビートたけしさんのコントなどは今、見ても笑える。だから“ただ今、コント中。”は10年後に見ても笑えるような番組にしたい』とおっしゃっていました。前回はうまくいった部分もあると思いますが、富澤さんが希望していた内容には足りない部分もあったかな、という反省点があります。それは、子どもたちが見ても、もっと笑えるようにしたい、という点。前回は午後9時からの放送でしたが、今回は午後6時半からなので、子どもたちも見てくれていると思い、キャラクターものを増やしたり、ビジュアルで分かりやすいものにトライしたり、見た目で引き付けるコントを増やしました。例えば、かまいたち・山内健司さんが扮する寄生獣は、ちょっと怖いけど面白い。最近、狩野英孝さんのYouTubeをお手伝いしているのですが、ホラーゲーム人気にアイデアを得て、ゲーム実況のコントも作ってみました」

 前回、同局の戸渡和孝チーフプロデューサー(CP)は「近年、純粋なコント番組はコストがかかる上に、高視聴率もなかなか望めないという印象が強く、ゴールデン帯(午後7~10時)やプライム帯(午後7~11時)で放送するのは、もう難しいと思っていました」と率直に語ったが、サンドを中心に実力派の座組となり、数々の人気コント番組を生んできた歴史を誇るフジが王道コント番組に新たに挑戦。反響は大きく、有川氏も「特に他局のスタッフさんや作家さんから『フジテレビさんらしい』『今時、あそこまで手間と予算かけるものができるんですね』『あれをやられると悔しい』『自分たちの番組内で研究しています』といった声が聞けて、うれしかったです」と振り返った。

 戸渡CPも「反響次第では第3弾、そして第4弾と、フジテレビの新しい特番ソフトとして定着できれば、うれしいです」と長寿シリーズ化を期待している。

 有川氏は「前回も今回もあったのですが、私が『はい、オッケーです』とカメラを止めると、伊達さんが『いや!まだ終わっていないよ』と、しゃべり続けたコントがありました(笑)。芸人さんからそんなことを言われたのは初めてです(笑)。本当にお二人とも、お笑いがお好きで楽しんでいるのだと思います」。サンドら出演者とスタッフの熱量が詰まったコントの数々を堪能したい。

 <芸人の日常からコント>「革ジャン兄弟」は富澤とバイきんぐ・小峠英二(44)が実際に革ジャン好きなことから生まれたコント。有川氏は「私は一緒にお仕事をする人たちのことを研究する方かもしれません。出演者もスタッフも、それぞれの日常をウオッチングしています(笑)。次にやれるとしたら、山内さんがめちゃくちゃ高いスニーカーを集めている趣味をコントにしてみたいです」

 ◆有川 崇 1971年(昭46)生まれ、東京都出身。95年、番組制作会社に入社。99年、フジテレビ「笑う犬の生活」でコント番組を初担当。「平成日本のよふけ」「爆笑レッドカーペット」「爆笑レッドシアター」「新春かくし芸大会」「爆笑ヒットパレード」「THE MANZAI」、TBS「ひみつの嵐ちゃん」、NHK「AKB48SHOW!」、サンドウィッチマンのライブツアーなどを手掛ける。現在は「ただ今、コント中。」、BSフジ「東北魂TV」「恋愛マルシェ」を演出。

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