「鬼滅の刃」興収ついに1位!324億円で「千と千尋」超え 公開72日、驚異的スピード更新

[ 2020年12月29日 05:30 ]

映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の一場面 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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 アニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が27日までに観客動員2404万9907人、興行収入324億7889万5850円を記録し、01年「千と千尋の神隠し」(316億8000万円)を抜いて歴代興収1位となったことを配給元の東宝などが28日発表した。記録更新は26日で、公開72日という異例のスピードで新記録を達成。鬼滅ブームが席巻した今年を締めくくる偉業となった。

 「無限列車編」は10月16日に全国で封切られ、公開3日間で動員342万人、興収46億2300万円の歴代最高のスタートを記録。驚異的なスピードで動員を伸ばし、「千と千尋の神隠し」が253日を要した興収300億円も、わずか59日で突破。そして19年ぶりに記録更新で、観客動員でも2350万人と言われる「千と千尋…」を上回った。

 空前の大ヒットの背景には配給のアニプレックス、東宝による緻密な戦略がある。緊急事態宣言解除後、東宝は「千と千尋…」などスタジオジブリ作品4本をリバイバル上映し、映画館で映画を見る土壌をつくった。その後、「今日から俺は!!劇場版」「コンフィデンスマンJP プリンセス編」では、新型コロナウイルスの感染対策により1席空けて半分になった席数を、大幅にスクリーンを増やすことで対応し、大ヒットの実績をつくった。

 そこで“真打ち”として登場したのが「鬼滅の刃」だ。公開週にはTOHOシネマズ新宿で11スクリーン中10スクリーンを使い1日41回上映という大胆な興行で大量動員につなげた。SNSでは「鬼滅」関連の投稿が、1~9月は月間64万~145万件で推移していたが、映画が公開された10月は436万件に激増した。

 アニメに詳しい映画文筆の増當竜也氏は「昨年のテレビシリーズで人気に火が付き、LiSAの主題歌も独り歩きを始めた。コロナによる自粛で、ネットの動画配信でみんながテレビシリーズを見たことも引き金となった。ufotableが制作するアニメはクオリティーが高い。実はいちげんさんでも分かる構成の作品を作るのがうまく、幅広い層に受け入れられた」と分析する。

 内容はもちろんのこと、段階的な入場者特典も効果的だった。公開初日からコミック「煉獄零巻」を用意。約1カ月後の11月14日からは2週間おきに4週にわたりイラストカードや、主人公・竈門炭治郎役の花江夏樹(29)ら声優陣のコメントを収録したスペシャルブックなどを配布した。26日から始まった4D版でも無限列車切符風キーホルダーを投入。コレクター心をくすぐり、リピーターを増やし続けたことも大記録につながった。

 【鬼滅現象アラカルト】

 ◇1億2000万部 単行本全23巻の累計発行部数は歴代8位。1位はONE PIECEの累計4億7000万部(全97巻)。
 ◇520万部 単行本1巻あたりの平均は520万部。ONE PIECEの490万部を上回り、公式記録はないが、「歴代1位」との評価もある。
 ◇1~22位独占 最終巻発売前の11月末に発表されたオリコン年間コミックランキングの単巻別で、1~22巻が22位までの上位を独占。史上初めて。
 ◇缶コーヒー ダイドーがコラボした缶コーヒーは10月5日の発売から3週間で5000万本突破。追加で販売計画を1500万本上乗せ。
 ◇国会でも 菅義偉首相は衆院予算委で主人公のせりふにちなんで「全集中の呼吸で答弁させていただく」と発言。

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