神戸弘陵 歴史的V!甲子園で女子高校野球決勝初開催 胴上げ投手・島野「凄く大きな一歩を踏み出した」

[ 2021年8月24日 05:30 ]

第25回全国高校女子硬式野球選手権大会決勝   神戸弘陵4ー0高知中央 ( 2021年8月23日    甲子園 )

<神戸弘陵・高知中央>優勝し、笑顔の神戸弘陵ナイン(撮影・平嶋 理子) 
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 第25回全国高校女子硬式野球選手権大会決勝が23日に甲子園球場で開催され、神戸弘陵(兵庫)が高知中央(高知)を4―0で下し、5年ぶり2度目の優勝を飾った。今大会は史上最多の40校が参加し、念願の甲子園初試合が実現。女子野球の発展や野球人口の拡大などにもつながる歴史的な1日になった。来季以降の甲子園開催は未定でも、新たな球史が刻まれた。

 ポニーテールの髪が浜風で揺れた。午後5時4分のプレーボールから夢のような1時間35分を駆け抜けた。カクテル光線に照らされ、神戸弘陵の選手たちがマウンドで決めた「一番ポーズ」。歓喜の中心は“胴上げ投手”になった島野愛友利(あゆり=3年)だった。

 「甲子園で優勝を目標にやってきたので、夢がかなってうれしい。この一戦が女子野球の今後にいい影響を与えると思っていた。凄く大きな一歩を踏み出したかなと思う。これからも目指す場所が甲子園であってほしい」

 中学時代に大淀ボーイズに所属し、エースとしてジャイアンツカップ優勝時も胴上げ投手になった。憧れた舞台に「3番・遊撃」で先発出場し、4―0の最終回の7回に2番手で登板。最速118キロの直球を武器に打者3人を抑えた。長兄・凌多さんは大阪桐蔭で16年春、次兄・圭太さんは履正社で昨夏の交流試合に出場。きょうだい3人で踏んだ聖地は格別だった。

 「ずっとお兄ちゃんの背中を追ってきて、同じ場所に立つことができた。2人のお兄ちゃんにも感謝しています」

 97年に始まった全国高校女子硬式野球選手権大会。25回目を迎えた今夏、選手や関係者の「女子高校野球選手も甲子園で…」という長年の切なる願いが日本高野連、甲子園球場など多くの人々の協力を得て実現した。

 ダイビングキャッチや流れるような併殺など両校ともレベルの高いプレーを連発。両ベンチには笑顔があふれ、仲間を激励する前向きな声が響いた。「めちゃくちゃ楽しめました。やっぱり広いなと思ったし、高校球児が目指して、目指しても来られない凄い場所で、凄い感動はありました」。春に右膝のじん帯を痛めてプレーできなかった小林芽生(めい)主将(3年)のうれし涙が光った。(川島 毅洋)

 《指揮官も感慨深げ》神戸弘陵・石原康司監督は「もう…感無量です。甲子園でやらせてくれるのは夢の夢。女子野球の扉が開いたんじゃないかなと思います」と感慨深げだった。同校で男子部員を率い、94、99年に選抜出場。「(男女の)体力差、筋力差、球の速さが違うとかはある。でも基本的には野球は変わりはない」と指導を振り返った。

 《茨城GG・片岡安祐美監督「思い形に」》社会人クラブチームの茨城ゴールデンゴールズ・片岡安祐美監督(34)が、決勝戦をライブ配信した「バーチャル高校野球」のゲスト解説を務めた。熊本商時代は男子硬式野球部に所属。自身も憧れた甲子園で女子選手が躍動する光景に「全ての女子野球選手たちの思いが形になった日」と感無量だ。女子野球にとって記念すべき日に「(女子選手が)“甲子園に行きたい”と堂々と口にできる時代になって喜ばしく思う」と語った。

 ▽高校女子硬式野球選手権大会 全国高等学校女子硬式野球連盟には43校が加盟。今大会には40校(連合チーム1)が出場し、学校に女子野球部のない選手は「全国高等学校連合丹波」のメンバーに加わった。指名打者(DH)制で、試合は7回制(5回終了で成立)。決勝は延長10回からタイブレークを適用。ベンチ入りは25人で、背番号は1~99番まで使用可となっている。準決勝までは兵庫県丹波市で開催。選手権大会の第1回は97年8月に東京都福生市で行われ出場校は5校だった。高校女子硬式野球では00年から選抜大会も開催されている。

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