ソフトバンク　1安打完封で日本一4連覇王手　ムーア、助っ人最長7回無安打の快投

[ 2020年11月25日 05:30 ]

SMBS日本シリーズ2020第3戦ソフトバンク4ー0巨人（ 2020年11月24日ペイペイD ）

　ソフトバンクが、4年連続の日本一へ王手をかけた。マット・ムーア投手（31）が7回を無安打の快投。8回はリバン・モイネロ投手（24）、9回は森唯斗投手（28）とつなぎ、9回2死まで無安打の1安打完封リレーを完成させた。これで日本シリーズは11連勝。史上初の2年連続4連勝で、特別な20年シーズンを締めくくる。

　7回を終えて無安打で93球。工藤監督から交代を告げられたが、ムーアは「チームが勝つための最善策。決断に従うだけ」と個人記録には興味を示さなかった。9回2死から安打が出て、シリーズ史上2度目となる継投によるノーヒッターを逃しても、チームの勝利を喜んだ。指揮官はメジャー通算54勝の左腕の快投に「素晴らしいというより、凄い」とうなった。

　「この時期まで野球をやるのは初めて」というムーア。初回、味方の失策で無死二塁のピンチを背負った。「自分が二塁打を打たれることもあるし、どんな経緯かとかは関係ない。“この一球が大事”と思って投げた」。無失点で踏ん張り、2回以降は巨人打線を寄せ付けなかった。

　「今日はカーブの日だった」。打者24人に対し、9個のアウトを同球種で奪った。150キロを超える直球と130キロ台のパワーカーブのコンビネーションがさえた。7回まで無安打投球は、日本シリーズの外国人先発投手で最長記録となった。

　「同じ外角の直球でも、高めと低めで違う球種」という独特の思考。しかし来日後、考え方を変えた。シーズン当初は自らが投げたい球を選択し組み立てたが「日本の打者のことは捕手の方が知っている」と、甲斐のリードに託すように。この日は持ち球のカットボールを1球も投げなかった。

　チームは本拠地での日本シリーズは11年から15連勝。4年連続の日本一に王手をかけた。2年連続4連勝なら史上初。それでも、工藤監督は「一気に、というより今年は日々新たでやってきた。それが崩れないように、しっかり」と浮かれることはなかった。「明日（25日）は和田さんがいい投球をしてくれる」とムーア。全て先発白星による4連勝なら、02年巨人、05年ロッテに次いで史上3度目の快挙となる。最高の形でバトンをつないだ。　（川島　毅洋）

　≪ソフトバンク　07年中日以来の無安打ならず≫ソフトバンクのムーアが7回無安打でシリーズ初登板初勝利。シリーズで先発7回以上を無安打に抑えたのは、07年日本ハム第5戦で8回無安打の山井（中）を筆頭に史上5人目。外国人では65年巨人第5戦のスタンカ（南海＝5回1/3）を抜く最長イニングだ。また、球団では昨年巨人第2戦の高橋礼の6回2/3を上回る新記録になった。なお、先発7回以上を無安打のまま交代したのは前記山井以来2人目。

　シリーズで1安打以下の完封は07年第5戦の中日（0安打＝完全試合）、01年第1戦のヤクルト（1安打）に次ぎ3球団目。チームでは99年中日第3戦まで2度の2安打を抜く最少被安打完封になった。なお、シリーズでノーヒットノーランを逃した過去の試合を見ると、最長イニングは17年第4戦のDeNAまで3球団が記録した8回1死で、9回2死から逃したのは今回が初。

　≪ムーア　米でもポストシーズン初登板で快投≫ムーアはメジャーでもポストシーズン初登板で快投を見せている。1年目の11年9月30日。レンジャーズとの地区シリーズ開幕戦で先発し7回2安打無失点でチームを勝利に導いた。公式戦先発1試合でのポストシーズン開幕投手は史上初。新人の大胆起用に踏み切ったジョー・マドン監督（現エンゼルス監督）は「スカウト、スタッフを交えた決断。これ以上望みようがない投球」と称えた。PS通算5試合に投げ1勝1敗、防御率3・33。大舞台で強心臓ぶりを発揮している。