阪神 近本 新兵器は一塁側へバントヒット 矢野構想「2番」で躍動

[ 2019年11月17日 05:30 ]

紅白線の3回1死二塁、バント安打を決める近本(投手・馬場)(撮影・大森 寛明)
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 高知・安芸で秋季キャンプ中の阪神は16日、初めての紅白戦を行った。近本光司外野手(25)が一塁側へ決めたセーフティーバントが白組の決勝点を演出。矢野燿大監督(50)が理想とする「2番近本」構想が、来季に向け現実味を帯びてきた。

 0―0の3回1死一塁で近本が打席に入った。初球(ボール)に一塁走者の熊谷が二盗に成功すると、直後の2球目の直球を一塁側へセーフティーバント。強めのゴロは投手・馬場の横を抜け二塁を守る上本まで転がった。一塁手の陽川も飛び出したが、諦めて立ちすくんだまま…。オールセーフで一、三塁と好機は広がった。

 「もう少し一塁ライン寄りでもいいのかもしれません。たとえ一塁手に取られてもベースカバーに入る投手との競争に勝てばいいのですから」

 走者一塁のままだと「状況にもよりますけれど」とした上で、一塁手に取られれば二塁ホースアウトになってしまう可能性があるとし、三塁側へ転がす方が無難になる。しかし走者二塁になった時点で投手正面にさえ転がさなければかなり高い確率で内野安打にできる。この試合の唯一の得点シーンにつながったのは偶然ではない。もちろん走者無しからでも有効で、近本のような左の俊足打者のドラッグバントは、それだけ大きな武器となり得るわけだ。

 「今季は主に三塁側へのセーフティーが多くて、来季は一塁側にもしていこうと考えていました。本当は来春のオープン戦で試そうと思っていたのですが、それだと他球団のスコアラーに知られてしまうので、久慈(内野守備走塁)コーチと話をして練習でやっておこうということで…」

 今季7つのバント安打を記録したが、一塁手に取らせたのは一度だけ。相手チームのデータにはほとんど入っておらず、来季ここぞの場面での「秘密兵器」にしようと、この日の紅白戦でテストすることになったのだが、あまりにも見事に決まり逆に目立ってしまったというわけだ。「1球団に1度目は成功するとして年間5安打を隠しておきたかったのですが…」と苦笑いした。

 白組の「2番左翼」で出場させた矢野監督は来季構想の一端にあると明言。「2番に入るとありがたい。あのバントを決めると内野手は前にこないといけなくなるしヒットゾーンも広がる」。秋で、より進化を遂げた近本が来季も矢野阪神の得点源となる。
 

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2019年11月17日のニュース