【ソフトB和田独占手記】左肩リハビリ乗り越え大舞台「大輔やスギの苦しみ見ていたから頑張れた」

[ 2019年10月24日 09:30 ]

SMBC日本シリーズ2019第4戦   ソフトバンク4―3巨人 ( 2019年10月23日    東京D )

3回2死一、二塁、丸(左)から三振を奪いガッツポーズする和田(撮影・木村 揚輔)
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 ソフトバンクの和田毅投手(38)が先発し、5回1安打無失点で、3年連続日本一に貢献した。日米通算135勝を誇るが、昨季は左肩痛で1軍登板できなかった。今季は2年ぶりの白星を挙げ、日本シリーズでは16年ぶりの勝利投手に。同世代が続々とユニホームを脱いでいく中で、「松坂世代」を代表する左腕がスポニチ本紙に独占手記を寄せた。

 今日は行けるところまで全力でと思った。初回の菅野君の投球を見て、簡単に点は入らないなと思った。ついていこうと。優勝が決まる中で投げられて、選手として日本シリーズの場に立てて、幸せだった。

 去年は左肩を痛めて何もできずに一年が過ぎた。CSも日本シリーズも全部、テレビで見て、何をやっているんだろうなと。悔しさというかむなしさ、つらさがあった。昨秋に自分の血小板を注入するPRP注射を肩に打ってもらった。少しずつ良くなっていったが、1月の自主トレでは全く手応えがなかった。2月のキャンプでも自信はなかった。3、4月くらいに徐々に投げられるようになっても、怖さは消えなかった。完璧に腕が振れるという感覚は、今季は一回もなかった。

 毎朝起きて、肩の状態のチェックをするようになった。肩のトレーニングのメニューも治療、ケアの回数も増えた。同学年の(松坂)大輔も、巨人でスギ(杉内)も3年間リハビリで苦しんだ。その姿を見ていたから頑張れた。一年くらいでは苦しんでいるうちに入らない。自分がリハビリをしている姿を、後輩たちが見ていると思って取り組んできた。

 今年はお酒はほとんど口にしなかった。前半戦が終わって球宴休みに一度、飲んだけど、肩がおかしくなったりとか肩周りが動かなくなったらどうしようと思ったら、飲むのが不安だった。リハビリ中は気持ちが折れることは多々あった。ケアをしてくれるトレーナーさんには、ふてくされたりしてしまうこともあった。話を聞いてくれるだけで僕は楽になったけど、僕と接することで体重が落ちたり、寿命が縮まったトレーナーさんがいるんじゃないかな。その方々のおかげで今の自分がある。感謝してもしきれない。

 日本シリーズで印象に残っている試合は、ルーキーだった03年の阪神との第7戦。今までで一番緊張した。5回くらいまで足がふわふわしていたのを覚えている。最後まで投げて胴上げ投手になった。今でも夢なんじゃないかと思う。

 ホークスに若い投手が出てきて、頼もしく感じる。マウンドに上がれば年齢は関係ないが、年を取ったなと感じることはある。疲れがなかなか取れないとか、白髪も増えてきた。自分の引退が近づいているのは分かっている。どこまであがけるか。1軍レベルで投げられるか。入団した時に40歳までは一線でやりたいという目標を立てた。来年は40になる年。早生まれなので39歳だけど。そこはどうカウントしようかな。

 最高の形で日本シリーズが終わった。もうボールを投げたくない。しっかり肩を休ませて、来年に向けた準備をしたい。(福岡ソフトバンクホークス投手)

 ≪最長ブランク、16年ぶり勝利投手≫ベテラン・和田は5回1安打無失点、6奪三振の好投で、日本シリーズ最長ブランクとなる16年ぶりの勝利を挙げた。「16年勝ててなかったのは不思議な感じ。今日は初回から飛ばしていった。2回くらいから感じが良くなった。5回は足がしんどかったけど、よく持ってくれた」と振り返った。3回2死一、二塁のピンチでは丸から外角直球で見逃し三振を奪い、ガッツポーズ。「あそこは自分の中でキーポイントだったので」と笑顔だった。

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2019年10月24日のニュース