こだわり旬の旅

【埼玉】秘境のパワースポット!歩いて2時間、静寂の中に佇む“天空の寺”

[ 2019年6月6日 15:00 ]

座禅堂から見える風景。まさに深山渓谷の世界だ 
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 映画「翔んで埼玉」の大ヒットで一躍、注目の的となった埼玉県。気になって出掛けてみたが、出発前と到着後ではイメージが大違い。「草」どころか、おいしいグルメもあれば上質な酒蔵、無形文化遺産などもあって、見どころ、食べどころがいっぱい。中でも奥秩父の禅寺「大陽寺(たいようじ)」は深山幽谷の“秘境寺”。ディスるなんてとてもとても…。

 埼玉県内にはパワースポットとして大人気の奥秩父・三峯神社があるが、山一つ手前に、負けないほどの“霊気”を感じる寺に遭遇した。それが大陽寺。同神社と同じ秩父鉄道三峰口駅からバスで約15分。そこから荒川の支流である大血川の渓流沿いの町道を7キロ、歩くこと2時間。標高850メートルにたたずむ“天空の寺”だ。

 後嵯峨天皇の第三皇子として生まれた仏国国師により鎌倉時代末期の1313年(正和2)に開山されたという由緒ある寺で、現在の本堂は江戸時代創建のもの。扁額に金文字で書かれた「大陽寺」の揮毫が印象的だ。掲示板によると、当時は「袋養寺」と書き、幕府の天領寺として三峯神社に劣らぬほど繁栄。「東国の女人高野山」とも称され、多くの女性参拝者でにぎわったという。

 「そのせいか、今もいらっしゃる人は70%が20~50代の女性です」とは26代住職、浅見宗達さん(54)。“日本のマチュピチュ”と呼ばれるほど山奥にあることから、住職がおらず無人だったこの寺を脱サラして再建した人で、11年前から本堂を利用して「宿坊」を開始。自ら精進料理を作り、座禅や写経、ヨガ、散策、星空観察などを行うことで「都会の喧噪を忘れて癒やされると宿泊客に喜ばれている」(浅見さん)という。

 この日は日帰りのため精進料理や座禅などを楽しむことはできなかったが、施設を見学するだけでも訪ねた価値は十分。埼玉県文化財指定の「閻魔(えんま)堂」に江戸時代作の木造閻魔大王坐像と13体の仏像が安置されている一方で、寺庫には左甚五郎作とされる龍の彫り物が無造作に置かれ、「いつか飾る建物を」と浅見さん。このさりげなさがとてつもない奥深さを感じさせる。

 圧倒されたのは開山堂の中に飾られた大きな天狗の面。長々と伸びたひげと、眉毛の下の鋭い眼光。通称・髭僧大師(ひげそうたいし)と呼ばれた仏国国師が都の政争から落ち延びてほこらにこもり、ひたすら祈った修羅の姿が天狗に間違われ、かたどられたものといわれている。

 その昔、寺周辺は「天狗が住む渓谷」と恐れられていたというが、人家一つない深山の中に立つと、今も天狗が現れてきそう。そんな大自然に包まれた静寂の世界が、この寺の魅力をさらに引き立てているのだろう。

 ▽行かれる方へ 車は関越道花園ICから国道140号線などで約1時間20分。宿坊は1泊2食9000円から。宿泊者は三峰口駅への送迎車あり。問い合わせは大陽寺=(電)0494(54)0296、埼玉県物産観光協会=(電)048(647)0500。

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