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こだわり旬の旅

【千葉】“クマなし県”で注目 房総で岩の名所巡り ド迫力の切通しトンネル、神秘的な摩崖仏も

[ 2025年12月2日 19:00 ]

切り立った岩壁に彫られた燈籠坂大師の切通しトンネル。迫力満点だ
Photo By スポニチ

 クマ出没で観光地にも影響が出始める中、本州で唯一クマが生息しないという千葉県に出かけた。三方を海に囲まれ、クマの生息域の東京、埼玉などの山間部と遠く離れているからだそうで、向かったのは富津市の山沿い、鋸山近くの奇岩群。初めて訪ねる地域だったが、驚きの景観に感動。海沿いの観光スポットも回り、“安全+安心の旅”を心行くまで楽しんだ。

 「お~っ、これは凄い!」。館山道竹岡ICから車で約8分、国道127号線沿いのトンネルを通って行く「燈籠坂大師の切通しトンネル」を見た瞬間、思わず叫んでしまった。青空に向かって両側にそびえるように建つ高さ10メートル、長さ100メートルの岩壁。迫力たっぷりで、光の明暗によって変わる景観は幻想的だ。

 このトンネル、弘法大師が行脚中に腰を休めたという伝説が残る燈籠坂大師堂の参道で、かつて「造海城(つくろうみじょう)」という山城があったとされる場所にある。当時は尾根の上り下りが急だったため、明治から大正にかけて掘削。その後、昭和初期に地元住民により、鋸山の石切の技法を用いて切り下げ工事を行い、現在の形になったという。

 その技法に感銘を受けながら通り抜けると、大師堂が高台に見えてきた。道は2つに分かれ、右のスロープに「女道」、左の階段に「男道」の看板。迷いなく男道を選択して上り、無住の本堂に着く。参道の荘厳さからするとこぢんまりした感は否めないが、眼下に東京湾が見えるなど景観は抜群。清々しい気持ちで手を合わせた。

 切通しトンネルに圧倒された後、向かったのは同所から車で約6分の「岩谷観音堂やぐら群」。駐車場から階段を上っていくと、観音堂(大悲山岩谷堂清厳寺)の手前の岩壁に複雑な形の複数の岩穴(やぐら)が空いている。得も言われぬ不思議な空間で、古墳時代(3~7世紀頃)の横穴墓を利用して重層的に作られたものとか。奈良時代の高僧行基による一夜の作との言い伝えもある。

 岩穴は大小含めて14窟あり、中に入れるのは第2~第6窟。まずは第1窟(本堂)をコの字形で囲む回廊窟の第2窟に入ると、入り口には仁王像が掘り出され、両壁面には推定68体の磨崖仏が浮き彫りされており、薄暗さも相まって実に神秘的。外に出て右上の第3窟、その下の第4窟、東端高所の第5窟、観音堂左手の第6窟と回ったが、すべてに中世から江戸時代にかけて彫られたという磨崖仏や五輪塔が見られ、一巡りすれば全国の霊場を巡礼したのと同等の御利益があるのだとか。新名所を発見したような気分になり、やぐらに向かい深々と一礼した。

 「千葉には高くて標高400メートルほどの山しかなく、クマは生息していないので安全。安心して楽しんで下さい」と富津市観光協会。“安全+安心の旅”は新たな世界に誘ってくれた。

 ▽行かれる方へ 電車はトンネルはJR竹岡駅から徒歩約18分。やぐら群は同上総港駅から徒歩約20分。入場・見学は無料。やぐら群第1窟に入れるのは毎年千日参りの8月10日だけ。問い合わせは富津市商工観光課=(電)0439(80)1291。
 

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