ききみみ 音楽ハンター

【秦基博】デビュー10周年 遊び心と余裕が

[ 2016年10月3日 05:30 ]

プロデュースを担当した「オーガスタキャンプ2016」で歌う秦基博
Photo By 提供写真

 ♪僕ら手をつないだ~。先月、山梨の富士急ハイランド・コニファーフォレストにその歌声は力強く爽やかに響いた。芸能プロ「オフィスオーガスタ」の所属歌手が集うフェス「オーガスタキャンプ」。今年の主役はデビュー10周年を迎えた秦基博(35)だった。冒頭に歌った「シンクロ」は06年に同じ場所、同じフェスでデビュー直前の秦が披露した曲。直前に当時の映像が流れたことで、観客は10年の流れに思いをはせつつ秦の“今”を見たことだろう。

 約6時間の長丁場、プロデューサーを務めた秦はほぼ全編で舞台に立ち、各歌手とのコラボや単独ライブを繰り広げた。山崎まさよし(44)、スキマスイッチら先輩には弟のようにかわいがられ、浜端ヨウヘイ(32)ら最近増えた後輩にはさりげなくリーダーシップを発揮。関係者によると、秦は「夏らしい事を何一つしていない」と語るほど今夏をフェス制作に費やした。共演者やファンの好反応に、疲れもピークのはずの本番後、晴れ晴れとした笑顔をみせていたという。

 「ひまわりの約束」(14年)のヒット以降、絶好調が続く。19日発売の新曲「70億のピース/終わりのない空」も前者がABC系「土曜ワイド劇場」、後者は映画「聖の青春」の主題歌だ。弦楽器隊を含む過去最多12人のバンドを従えて回る11月のアリーナツアーは、大阪城ホール2日間のチケットが完売。10年間でシンガー・ソングライターとしての地位や評価は、大きく飛躍した。

 最近のライブでは歌や演奏はもちろん言動にも遊び心や余裕が漂い、10年のキャリアを感じる。だが、取材時の自然体で謙虚な人柄と音楽へのこだわりは毎回ブレることがない。変わらない部分もまた、彼の大きな魅力なのだ。(萩原 可奈)

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