坂本龍一さん遺作アルバム注文殺到 追加注文異例4桁 心の平安求め制作…闘病の日々を音でスケッチ

[ 2023年4月6日 05:00 ]

坂本龍一さんの最新アルバム「12」
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 先月28日に死去した音楽家・坂本龍一さんが、がんとの壮絶な闘いの中で紡いだ遺作アルバム「12」の売り切れ状態が続いている。音楽のネット配信などによりCD不況が叫ばれる中、追加注文は異例の4桁に。発売元のエイベックスは「極めて手に入れにくい状態。追加注文が相次いでいます」と対応に追われている。

 「12」は坂本さんの71歳の誕生日だった今年1月17日に発売された。20年6月に直腸がんと診断された後、坂本さんが闘病の日々を音で「スケッチ」し、12曲に。曲名は全て曲を制作した日付。終曲「20220304」は風鈴の音がサヨナラを告げるように消えていく1分9秒の小品。関係者によると「12」には「病気との闘いの間に心の平安を求めて作った」という故人の切実な願いが込められているという。

 坂本さんの30年来の仕事仲間は「昨年末の配信ライブなど体力的に厳しい中、魂を削るような演奏をしてくれました」と話し「音楽で何かを伝えたい執念は胸に迫るものがありました」と最晩年の姿を振り返った。

 坂本さんの死が公表されてから4日、坂本作品の品薄状態は「12」以外にも波及。タワーレコードの広報担当者は「新宿店では3日午後に『12』が売り切れ、翌日入荷したが続々と売れている。坂本作品全体が品薄状態」と話す。坂本さんのソロデビュー作「千のナイフ」の再発売盤などにも注文が殺到。YMO作品を扱うソニーミュージックにも注文が寄せられている。

 週末に向け、各メーカーがCD生産を急いでおり、タワーレコードの広報担当者は「できるだけ品をそろえて、お客さまを迎えたい」としている。

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