「舞いあがれ!」松尾諭 NHK制作統括「キュートな味わい」

[ 2023年3月10日 08:30 ]

連続テレビ小説「舞いあがれ!」で、津田道子(たくませいこ)に望月佳晴(松尾諭)がプロポーズする場面(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】10日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第111回で、元ラグビー選手の望月佳晴(松尾諭)がカフェ「ノーサイド」主人の津田道子(たくませいこ)にプロポーズした。

 プロポーズの際、佳晴が道子に贈ったのがチタンの指輪。ラグビーボールを両手で抱きかかえるデザインで、左手の薬指にはめた道子は「かわいい」と感激した。

 制作統括の熊野律時チーフプロデューサーはこの指輪について「東大阪の町工場の方にご協力いただいた。チタンのアクセサリーは実際に存在するが、そんなに多くあるわけではないので、この物語の中に取り入れるのにちょうど良いと考えた」と話す。

 佳晴は、道子が金属アレルギーで普段、指輪をつけていないことから、ヒロインの舞(福原遥)の新会社「こんねくと」に、チタンを使った指輪を作ることを依頼。舞は「なんとかしてみます」と請け負い、知り合いの我妻花江(久保田磨希)の町工場に製作を頼むとともに、一般販売向けとしてチタンのアクセサリーを作ることに着手した。

 熊野氏は「舞は佳晴の依頼から発想して新たな商品としてチタンのアクセサリーを考え出した。このアクセサリーは町工場で大量生産はできないにしても、確実に需要があり、町工場の仕事の一つとして取り入れることができる。舞が『こんねくと』を立ち上げるに当たってやろうとしていたことが、ここで初めて実を結んだ」と話す。

 佳晴は物語のキーパーソン。けがを機に失業して職を転々とし、娘の久留美(山下美月)の結婚の障害になったこともあったが、ここでついに幸せをつかみ、舞の人生も動かした。

 熊野氏は佳晴のキャラクターについて「生き方は不器用だが、真心、愛情があり、久留美を大事にしていることを一貫して描いてきた。社会的な成功はなかなか難しいものの、地道に一生懸命に生きていれば、報われ、自分なりの幸せをつかめるということを物語の中で描きたいと考えた」と話す。

 演じている松尾諭は「わろてんか」「エール」などに出演し、朝ドラの常連。最近ではテレビ70年記念ドラマ「大河ドラマが生まれた日」で大河1作目の監督の役を演じた。

 熊野氏は松尾の役者としての魅力について「キュートな味わいを出していただいている。ダメな感じがありつつ、憎めない感じもある。根っこの部分に陽気で楽天的なところがある。おじさんだが、かわいらしさもにじんでいる。こういうキャラクターを演じていただくと抜群に素晴らしい」と説明する。

 主人公の周囲の人生模様を味わうのも朝ドラ鑑賞の楽しみのひとつだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

続きを表示

2023年3月10日のニュース