藤井竜王に意外な“鬼門” 防衛戦第1局に限定すると2勝4敗「結構、早い段階で形勢を損ねた」

[ 2022年10月8日 19:58 ]

<第35期竜王戦七番勝負第1局>広瀬章人八段(手前)に敗れ、取材に応じる藤井聡太竜王(東京都渋谷区のセルリアンタワー能楽堂で)=代表撮影
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 藤井聡太竜王(20)=王将、王位、叡王、棋聖を含む5冠=が広瀬章人八段(35)の挑戦を受ける第35期竜王戦7番勝負第1局は8日、東京都渋谷区のセルリアンタワー能楽堂で2日目が指し継がれ、午後6時2分、107手で広瀬が勝利した。藤井にとっては初防衛を目指す7番勝負。一昨年7月の棋聖戦以来、これまで10度の番勝負全勝を誇る藤井だが、防衛戦の第1局に限定すればこれで2勝4敗。タイトル戦通算35勝7敗の勝率・833を誇る第一人者の鬼門が判明した。

 「結構、早い段階で形勢を損ねた。内容をよくしていかないといけない」

 振り駒の結果、先手広瀬で戦型は角換わり腰掛け銀。封じ手前、広瀬が藤井陣へ金獲りに銀を打ち込んだ。1時間1分の長考に沈む1日目の局面で早くも「苦しいかなと。その前にやっていくしかなかった」と非勢を自覚したという。

 デビュー以来の29連勝や19歳7カ月での最年少5冠。積み重ねた最多や最速記録の数々にあって、珍しい負け越し記録。計6局とサンプルは少ないが、挑戦権獲得の勢いを駆るチャレンジャーを藤井でも受け止めきれないことが考えられる。

 今年度は全8冠中、過半数のタイトルを手中にしたため挑戦権を争うのは3タイトルのみ。昨年度の上半期40局から今年度は20局と対局数が半減した。また、広瀬とは、19年の王将戦挑戦者決定リーグで敗れて以降4連勝したが、対戦は昨年10月の同リーグ以来1年ぶり。所属も東西で違うため、戦前の情報不足は否めなかった。

 「幸先いいスタートが切れた。気持ちを切らさず頑張りたい」。自虐キャラもあろうが、その充実ぶりからストレート敗退すら考えたという広瀬は笑顔を見せ、藤井は「際どい勝負に持ち込めず申し訳ない。第2局は熱戦に持ち込みたい」と神妙だった。7番勝負は面白くなったというのが、両雄に止まらない実感だろう。(筒崎 嘉一)

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2022年10月8日のニュース