「カムカム」安達祐実 セリフ棒読み芝居の裏側

[ 2022年2月18日 08:15 ]

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で、条映太秦映画村のスタジオで撮影に臨む美咲すみれ(安達祐実)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】18日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第77回で、女優の安達祐実(40)が演じる美咲すみれが、時代劇の撮影時に拙い芝居を見せる場面があった。

 すみれはかつて時代劇「棗黍之丞シリーズ」に出演して人気を得た女優。ヒロインのひなた(川栄李奈)が働く条映太秦映画村のスタジオで、久しぶりに時代劇の撮影に臨む。

 お姫様役で、悪党たちに襲われる場面。すみれは「キャ~、何者じゃ、そなたらは」とセリフを言うが、まるで台本を棒読みしたかのようで、周囲をあぜんとさせる。

 演出の橋爪紳一朗氏は「演技が上手な人に下手に演じてもらうのはとても難しかった。あの場面は台本で『周りがどん引きする』となっていて、どん引きさせる説得力が必要だった。カメラを回す前にリハーサルして、3回くらい試した中で『その形で行きましょう』ということになった。憎めないところ、かわらしさが残るところが安達さん独特だと思う。役者が役者を演じること、下手に演じることはあまりないだろうから、安達さんも大変だったと思う」と説明する。

 制作統括の堀之内礼二郎氏は「台本に『棒読み』とあったが、安達さんの棒読みは想像できなかった。あの芝居の場面の前後は、ナチュラルに演じられているので、ナチュラルと棒読みの落差があって、安達さんの技量の高さを感じた。演技がうまい人だからこそ、コメディーができる」と話す。

 すみれは、ひなたのあこがれの存在だったが、現在は役者として売れておらず、機嫌が悪い。

 堀之内氏は「すみれには、構想段階から『不機嫌な女優』『ひなたが困らせられる』という要素があった。トラブルメーカー的なところがあり、安達さんがやってくださるか不安だったが、ダメ元でお願いしたら、お忙しい中、おもしろがってやってくださって、ありがたい。安達さんは、かわいらしく、気さくで、性格の良さが認知されている人だと思うので、役柄とはギャップがあるが、絶妙なバランス感覚で演じてくださっている」と話す。

 橋爪氏は「安達さんは芸歴が長く、百戦錬磨の人。年齢不詳で、少女にも見えるし、同時に、大人の色気もある。いい意味で、何歳にも化けられる人」とたたえる。

 今後、すみれとひなたの絡みがこのドラマの見どころのひとつになる。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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2022年2月18日のニュース