「おちょやん」トータス松本もテルヲの“改心”願う「死ぬ時ぐらい…」朝ドラ史上最低の父親?西の作造?

[ 2020年12月25日 08:15 ]

連続テレビ小説「おちょやん」で朝ドラ初出演を果たしたトータス松本。ヒロイン・千代の父・テルヲのダメっぷりを体現(C)NHK
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 ロックバンド「ウルフルズ」のボーカル・トータス松本(53)がNHK連続テレビ小説「おちょやん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)で朝ドラ初出演。“朝ドラ史上最低”の声もあるヒロイン(杉咲花)の父親のダメっぷりを体現している。番組最高視聴率62・9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を叩き出し、同じく娘を奉公に出した「おしん」の父親を引き合いに、番組側から「“西の作造さん”になってくれませんか?」と言われたというが「完全にテルヲが悪いだけですよ。作造さんと全く比較にならないですよ」。目下“憎まれ役”となっているトータスに撮影の舞台裏を聞いた。

 朝ドラ通算103作目。タイトルの「おちょやん」は“おちょぼさん”が訛り、茶屋や料亭などで働く小さい女中さんを意味する大阪ことば。女中奉公の8年間がヒロインの原点になっていることの象徴として採用された。TBS日曜劇場「半沢直樹」(2013年)などのヒット作を生んだ脚本家の八津弘幸氏(49)が手掛け、朝ドラ初挑戦となるオリジナル作品。明治の末、大阪・南河内の貧しい家に生まれた少女・竹井千代(杉咲)が芝居の世界に魅了されて女優を目指し、のちに「大阪のお母さん」と呼ばれる上方のコメディエンヌになる姿を描く。

 トータスが演じるのは、養鶏の鶏の世話や家事も娘の千代(毎田暖乃)に任せっきりのダメな父親・竹井テルヲ。見えっ張りだが、気が弱く、世渡り下手。しかし、口は達者で女性にはモテる。千代にとっては憎み切れないトラブルメーカー。テルヲが連れてきた後妻・栗子(宮澤エマ)妊娠したため、千代は道頓堀の芝居茶屋「岡安」に奉公に出された。そして、8年後(第4週=12月21~25日)。突然、現れたテルヲは借金取りに追われ、千代を別の店に身売りしようと画策。千代が断ると、借金取りが岡安への嫌がらせを始め、千代はいたたまれず、岡安を出ることを決意した。

 大河ドラマ「龍馬伝」「いだてん~東京オリムピック噺~」などドラマ出演は多数あるトータスだが、朝ドラは初出演。「思ってもみなかったので、正直に言えば躊躇しました。朝ドラは家族全員で毎朝、日課のように見ているもので、大河ドラマとはまた違いますよね。イメージが全く湧かなかったです。その中に自分がいるのが想像できない(笑)。撮影が始まってからも、不思議に思いながら演じていますね(笑)」と心境を明かした。

 第17話(12月20日)、借金返済のため、弟・ヨシヲが病気とまで千代にウソをついたテルヲ。その“クズっぷり”に、SNS上には「朝ドラ史上最低の父親」の声もあるほど。トータス自身も「テルヲは、ひどいお父さんですよ(笑い)。台本を読んでいても、この人は一体、何を考えているのだろうと。だらしなくて、どうしようもない。僕らは生きていく中で、家族に対する愛情とか世間体、恩や義理など人との調和を考えていきますが、テルヲはそういうことをあまり考えたことがない人なんでしょうね」と認める。

 テルヲは初回(11月30日)から「お父ちゃん、流星丸(鶏)とうちらと、どっちが大事やねん!」と怒る千代に「そねなもん決まっとるやないけ…流星丸や」と言い放ったが「普段の自分だったら絶対、出てこない言葉なので、こんなこと言って知らんぞーとヤキモキするけれど、言い切るテルヲがうらやましくもありますね(笑い)。思っていたとしても100%は言えないじゃないですか。それを言い切る。それがちょっと気持ち良かったりもします」

 番組サイドからの要望は「最初に言われたのは『おしん』(1983~84年)の伊東四朗さんが演じた作造さんのような“西の作造さん”になってくれませんか?だったんですよ」と打ち明け「小作農家の作造さんは一生懸命、家族のために働いても働いても報われず、貧乏な暮らしに耐えきれず、娘を奉公に出すことになって…。何も悪いことしてない、ひたむきに家族のために働いているだけなのに。かたやテルヲって…。完全にテルヲが悪いだけですよ。おまえがちゃんとすればいいんじゃ!作造さんと全く比較にならないですよ、情けないですね、話が違う」と苦笑した。

 子役・毎田の熱演も話題を呼んだが「共演する役者の皆さんにはリスペクトしかないですね、子役の皆さんも含めて。8歳ぐらいの人生経験でも、あれだけの演技ができるというのは、僕には想像ができないですよね。僕はバンドマンですからね、全然違う分野からきているから。子役の彼女がこれだけやるんだから、僕はとにかく受けて立つという気構えでおろうと思って現場に入っていました。杉咲花ちゃんとは、2012年の民放のテレビドラマ(フジテレビ『家族のうた』)で共演して以来です。その後、いろんなドラマに出演されて、めきめき頭角を現し、すごい女優さんになったなぁと感心しきりです。何か親戚の娘さんの成長を見ているような感じですよね。最初から能力の高い方でしたよね」と絶賛。

 最後は「テルヲが今後だらしなくて、どうしようもない父親のままなのか、それとも最後は少しぐらい良い人間になるのか。死ぬ時ぐらいは良い人間でいたいなぁと思っていますが、予定調和すぎますかね(笑)」と“改心”を願い「テルヲのこれからを温かく見守ってください」と呼び掛けた。

 年内の本編放送は25日で終了。年明け1月4日から再開し「京都編」がスタート。千代の女優人生の幕が開く。

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2020年12月25日のニュース