エンゼルス・大谷 投手では59年ぶり5出塁! サイクルならずも4回には今季最長139メートル決勝弾

[ 2023年5月17日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス9-5オリオールズ ( 2023年5月15日    ボルティモア )

<オリオールズ・エンゼルス>4回、勝ち越し3ランを放つ大谷(撮影・会津 智海)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(28)が15日(日本時間16日)、オリオールズ戦に「3番・投手兼DH」で出場。決勝9号3ランを含む自身初の登板時4安打を放ち、投手として59年ぶりの5出塁を果たした。二塁打が出れば史上初の「先発投手のサイクル安打」だった9回は、惜しくも左前打に終わった。投げては7回5失点も、今季5勝目。ベーブ・ルース生誕の地であるボルティモアで、異次元のパフォーマンスを見せた。

 オリオールパークはブーイングと拍手が入り交じる、異様な雰囲気に包まれた。9―5の9回2死走者なしから2番・トラウトが四球を選び、大谷につないだ。「うれしかった。ラストチャンスだったし」。気合十分で臨んだ2死一塁からの第6打席。2球目はフルスイングの空振りを見せたが、追い込まれると方向転換した。「難しいカウントになってしまった」。一転、3球目はコンパクトなスイングで左前へ落としたが、一塁上では思わず苦笑いを浮かべた。

 「できれば二塁打を打ちたかった。それを見てもらえれば一番良かった」

 エンゼルスの地元放送局バリースポーツ・ウエストの実況ウェイン・ランダーゾ氏はがっくりと肩を落とした。「二塁打ではなくヒット。今までに最も失望した4安打目です」。二塁打なら先発投手として史上初のサイクル安打だっただけに、敵地ファンも総立ちで悔しがった。

 記録ずくめの猛打だった。初回の四球に始まり、3回は右前打。同点の4回1死一、二塁では、右腕・ロドリゲスの初球カーブを振り抜くと、右翼席の柵の最上部にぶち当てた。今季2番目の打球速度114・6マイル(約184・4キロ)、同最長の飛距離456フィート(約139メートル)を計測しながら、「そこまで思い切り振ったつもりはない」と言うのだからまさに異次元。登板試合ではメジャー2度目の決勝弾で加速すると、5回の右中間三塁打で早々に王手をかけたのだった。

 4月27日アスレチックス戦と同様に最終打席で快挙達成は逃したが、1試合4安打は今季初で9塁打とともに登板時最多。「絶対数がまだ少ないので」と謙遜したが、先発投手の1試合5出塁は64年のメル・ストットルマイヤー(ヤンキース)以来、実に59年ぶりだった。今季、登板時の打率は36打数16安打の打率・444、1本塁打6打点。シーズン打率・303で、ア・リーグ9位となった。

 7回5失点で、5月初白星となる5勝目。投げて、打って、最後は球場中が大谷のとりこになった。ベーブ・ルースの生家から約300メートルの距離にあるオリオールパーク。元祖二刀流ゆかりの地で、「日本のルース」が唯一無二の存在であることを改めて証明した。(笹田幸嗣通信員)

 ▼ベーブ・ルースとボルティモア ルースはボルティモア南部で生まれ育った。7歳の時に入った同市内のセント・メリー工業学校で野球を始め、プロ入りのきっかけをつかんだ。オリオールパークの外壁にはルースの功績を称えた像が建てられている。同球場から徒歩5分の距離には「ベーブ・ルースの生家と博物館」があり、現役当時の写真やユニホーム、バット、愛用品など多数展示されている。

 ≪投手の「単打、三塁打、本塁打、四球」は史上初≫大谷は自身2度目のサイクル安打こそ逃したが、投手の「単打、三塁打、本塁打、四球」は史上初の快挙だった。15年のスタットキャスト導入以降、打球飛距離456フィート(約139メートル)の本塁打は、投手ではグレイ(当時ロッキーズ、現レンジャーズ)が17年7月5日のレッズ戦で記録した467フィート(約142メートル)に次ぎメジャー2番目。投手のシーズン3度目の1試合3安打以上は1961年のア・リーグ球団拡張以降、最多タイ。

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