新井貴浩氏 阪神・森木が示した勝てる投手の素養 勝負どころでギアを上げられる

[ 2022年9月11日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神0―7DeNA ( 2022年9月10日    横浜 )

新井貴浩氏
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 【新井貴浩氏 視点】阪神・森木は抑えることも打たれることもすべてが勉強だ。今回に関しては藤浪の次の日に登板が巡ってきたことが少し不運だった。DeNAの各打者には160キロに迫る速球を体感した感覚が残り、150キロにも合わせやすい。初回は桑原、関根に速球を立て続けに強い当たりで打ち返され、以降は変化球の割合が増えた。

 2巡目以降をどう抑えるか…もポイントになると見ていた。初登板でも球速が少しずつ落ちていたからだ。3回は1死二、三塁に走者を背負い、初回に先制打を浴びた牧と2度目の対戦。140キロ台前半に落ち始めていた球速が逆に最速151キロまで上がった。

 いい投手、勝てる投手は勝負どころでギアを上げられる。かつてのダルビッシュ、いまのオリックス・山本がそうだ。森木も強い気持ちで腕を振り最後もサインに首を振って投げ込んだ速球で牧を空振り三振に抑えた。技術や体力はまだまだ発展途上でも、ここぞという場面で力を出せる素養を示した。宮崎への申告敬遠で見せた悔しそうな表情にも、負けん気の強さが表れている。まだ19歳。投げる体力は練習と実戦を重ねていけば必ず身に付いていく。マウンドでのたたずまいも含めて、楽しみしか感じない。

 試合としては終始劣勢。8回1死一、二塁からの投ゴロで二塁ベースカバーに遅れた山本の失策は残念に思った。野球は相手がいることなので、打てないことやエラーをすることもある。ただ、準備不足からくる、防げたミスは質が違う。どんなに厳しい展開でも、集中力は切らしてほしくない。(スポニチ本紙評論家)

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2022年9月11日のニュース