元レオ戦士が挑む異国での新たな戦い 金子一輝さん「これだけできるということを証明できたら」

[ 2022年9月11日 08:00 ]

元西武の金子一輝さん
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 3年ぶりのV奪回を目指す古巣・西武の戦いを横目に、一人の元レオ戦士が新たな挑戦を胸に異国の地へ旅立った。19年限りで現役を引退し、今年6月までアカデミーコーチを務めた金子一輝さん(27)だ。8月8日に留学先のカナダへ向けて出発。同31日から当地でトップクラスの大学編入校として知られるランガラ・カレッジに通い、将来的な会社経営などを目指し、勉学に励んでいる。

 海を渡った当初は「学校がまだ始まっていなくて、友達がいないので寂しい」と不安を吐露していたが、通学して数日がたち「初日にうまく英語を話せなくて心が折れそうになる部分もあったけど、積極的に話していくことで、たった数日間でも話せるようになっているのが、実感できてとても楽しいです」と目を輝かせている。

 金子さんは、日大藤沢から13年ドラフト4位で西武に入団。1位は森、2位は山川という黄金ドラフトだったが、自身は4年間、1軍出場を果たせなかった。迎えた5年目。自主トレをともにしていた秋山(現広島)の取り組みを見て、今まで以上に練習に取り組んだ。同年に1軍デビューを果たし、5月22日のソフトバンク戦でプロ初本塁打。しかし、翌19年は1軍出場がなく、オフに戦力外通告。それでも「これだけやって無理だったら…と思うぐらいやった」と悔いはなく、トライアウトも受けずにスパッと引退を決断した。

 野球とはかけ離れた第二の人生の船出。これまでは野球に全てを懸け、学生時代も勉強に費やす時間はあまりなかったが、引退後は約10カ月、英語を猛勉強した。独学で中学、高校の範囲をおさらいし、英会話スクールに通って、4年制大学に入れる語学力を習得。「元プロ野球選手でもこれだけできるということを証明できたらいいな」と志は高い。

 野球を通じて多くのことを学ばせてもらった秋山からは「いよいよスタートだな!頑張れ!」というメッセージをもらった。現地で日本のプロ野球選手だったことを明かすと、たくさんの友人ができ、さまざまな境遇の外国人とコミュニケーションを取る機会にも恵まれている。遠く離れた場所からも気になるのは、やはり西武の動向。「もちろん、毎日結果は見ています。いち野球ファンとして西武ライオンズを応援しているので!」と金子さん。古巣の戦いぶりに負けず、元レオ戦士も異国の地で新たな戦いに挑んでいる。(記者コラム・花里 雄太)

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2022年9月11日のニュース