エンゼルスの新オーナー候補は純資産69億ドル 新聞社を所有する世界一裕福な医者

[ 2022年9月11日 10:20 ]

エンゼルスタジアム全景(球団提供)
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 ロサンゼルスタイムズ紙のオーナー、パトリック・スンシオン博士(70)がエンゼルス買収を検討していると、同紙のビル・シェイキン記者が報じた。

 スンシオン博士は南アフリカ出身。がんの診断や治療を行う医療会社で成功し「世界一裕福な医者」として知られる。10年前も、スティーブ・コーエンとのパートナーでドジャースの買収を試みたが、現オーナーのマーク・ウォルターとグッゲンハイムパートナーズに敗れた。フォーブス誌によると純資産は69億ドル(約9867億円)。エンゼルスは低く見積もっても、MLB球団の新記録となる25億ドル(約3565億円)で売却されると見られている。

 このニュースを最初に報道したのはスポーツビジネス専門のネットメディア「SPORTICO」。シェイキン記者はスンシオン博士に発言を求めたが、現時点では「ノーコメント」だった。売却への動きはシーズンが終わらないと本格化しないが、他にNBAゴールデンステートウォリアーズのジョー・レイコブオーナー、日本からの投資家、南カリフォルニアからの投資家らが入札参加を検討しているという。

 エンゼルスは近年成績不振で、観客動員も落ちているが、ロサンゼルスはメディアマーケットとしては全米2位で、エンゼルスはそこにある2球団のうちの一つ。シェイキン記者は競争入札が湿ったものにはならないと予測する。

 エンゼルスのオーナーになるメリットは大きい。一つはプロ野球がライブでのイベント回数が圧倒的に多いこと。「テレビ、ラップトップ、電話、時計など、メディアを通して、野球の試合が今後どういった形で見られるかはわからない。しかしながらライブ体験は、これからも確実に人々を魅き付ける。野球のオーナーになれば他のスポーツリーグのオーナーよりも多くライブイベントを取り扱える」。そしてエンゼルス球場と周辺の土地の開発計画を推し進められる。アート・モレノオーナーは1億5千万ドルで球場と周辺の広大な駐車場を買い取る契約をアナハイム市と結んでいたが、当時の市長が汚職で捜査を受けていることが発覚。アナハイム市議会はその契約を無効とした。新オーナーはそのプロジェクトを再興できる。球場とその周辺の再開発はMLB球団の新たな収益源、シカゴ・カブス、アトランタ・ブレーブスなどが既に大成功を収めている。

 ちなみに球団オーナーが、同時にチームを取材する新聞社のオーナーであるという事態も前例がある。ジョン・ヘンリーオーナーはMLBのボストン・レッドソックスのオーナーで、ボストングローブ紙も所有している、スン・シオン博士がロサンゼルスタイムス紙を買収する前も、13年にウォルタードジャースオーナーがロサンゼルスタイムズ紙を買うことを考えていた。

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2022年9月11日のニュース