広澤克実氏 読みと技術がかみ合った阪神・大山の見事な2発 佐藤輝は大山の技術吸収してほしい

[ 2022年6月18日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神7ー5DeNA ( 2022年6月17日    甲子園 )

広澤克実氏
Photo By スポニチ

 【広澤克実 視点】見事な阪神・大山の連続本塁打だった。インハイの直球をライナーで運んだ1本目は、持っている技術の高さが凝縮されていた。左腕・今永の食い込んでくるような球をひと振りで仕留めた。

 あの球をスタンドに運べる打者は今の球界に何人もいない。バットを早く出さないといけないと錯覚して、当たってもほとんどがファウルになる。だが、大山はバットのヘッドを出さずに、下半身からの体の回転だけではじき返した。狙ってないと打てないし、狙っても簡単に打てる球ではなかった。大山の状態を示す一本だ。

 そして2本目は頭で打った。直球を打った後は勝負球を変えてくると思うのが普通。だが、大山はここでも直球に狙いを絞った。今永―嶺井のバッテリーなら、その可能性がある。最近のデータと過去の対戦経験に基づく判断が、価値ある一発につながった。

 今春のキャンプでの対談では「反応で打つタイプ」と話していたが、大山は読むタイプの打者と見ていた。6月8本塁打という好調は、これまでの失敗の苦い経験を生かしていることが一番の要因だと思う。狙いが外れ、何もできずに終わった打席を、自分の引き出しにしてきたことが今につながっている。迷いのない読み、そして技術。両方がかみ合っている。

 大山の直球に対する技術はぜひ佐藤輝にも吸収してほしい。バットを振り回すのではなく、体の回転で運ぶコツをつかめば、阪神の攻撃力はさらに増す。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2022年6月18日のニュース