阪神・佐藤輝 悲願Vで矢野監督を男にする!プロ最初の指揮官、恩返しへ決意のキャンプイン

[ 2022年2月2日 05:30 ]

矢野監督の前で豪快なスイングを見せる佐藤輝(撮影・大森 寛明)
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 プロ野球は1日、12球団が一斉に国内でキャンプインを迎えた。阪神・佐藤輝明内野手(22)は、前日に今季限りでの退任を表明した矢野燿大監督(53)について言及。悲願のリーグ優勝を成し遂げ「男にする」ことを誓った。1カ月間の春季キャンプで打撃フォームを固め、プロ最初の指揮官へ恩返しを果たす。

 相応の覚悟とともに、佐藤輝はキャンプインを迎えた。前日に電撃発表された矢野監督の退任。最後の花道を飾るべく、大器は揺るぎない決意を明かした。

 「最初のプロ野球の監督ですし、いろいろ教えてもらったことがある。教えてもらった野球を体現して、監督を男にできるように頑張っていきたい」

 4球団競合の末、矢野監督が引き当ててくれたドラフト会議から1年あまり。時に厳しく、時に温かく見守ってくれた恩師の決意を、真っ正面から受け止めた。「最初はびっくりしましたけど、しっかり言葉にするところが監督らしいなと思いました」。目指す頂への思いが強まったのは、言うまでもない。「もうみんなそこ(日本一)しか見ていないと思うので。(恩返しのためにも)頑張って打ちます」と、言葉にも力がこもった。

 この日は今季初めて屋外でのフリー打撃を行った。力感のないシャープなスイングから、反対方向中心に低いライナー性の打球を連発。82スイングで柵越えは3本だったが、明確な意図があった。

 「今は飛ばすより、しっかりフォームを確認しながら。本番で打つために、しっかりいろいろ考えながらやっていこうと思います」

 グリップを従来より体の近くで構え、バットをほぼ90度に寝かせる新フォーム。89スイングで9本の柵越えを放った新人の昨季より派手さはなくとも、打撃の土台を固めることを最優先させた。居残り特打の前には、藤井康1、2軍巡回打撃コーチが約20分間にわたり指導。右足の上げ方やスイングの軌道に関し、耳を傾けた。藤井康コーチが補足する。

 「本人も飛ばそうと思ったら飛ばせるんだけどって感じで、確認しながら。上げる(右)足が上がって自分の上体も上がるんじゃなくて、重心を下げるイメージという話をしました」。密着指導後の居残り特打では、自らの感覚とすりあわせるように、156スイングで3本の柵越えを数えた。

 「しっかり話を聞き、取り入れながらやっていこうと思います」

 2年目の進化なくして、17年ぶり優勝は難しい。実りある成果を求める鍛錬の1カ月が始まった。(阪井 日向)

 ▽佐藤輝の昨春キャンプ 初日のフリー打撃では89スイングで柵越え9発。守備では外野、三塁、一塁と3種類のグラブを持参し、定位置奪取に意欲を見せた。初の対外試合となった9日の日本ハム戦では初本塁打を含む3安打など、3月1日の打ち上げまで全11試合の実戦に出場し、打率・366、9打点、2本塁打。期間中、スポニチ大阪版ではチーム最多となる10度の1面を飾った。

 《輝の恩師、近大野球部・田中監督、2年目ジンクスない》
 ジンクスは当てはまらない。佐藤輝の恩師である近大・田中秀昌監督は生駒市の野球部グラウンドで、2年目の進化を予言した。「彼はマイペースな人間やから、関係ないと思います」。才能と能力を最も間近で感じてきたからこそ、言葉に熱がこもった。これまで多くのプロ野球選手がぶち当たってきた2年目の壁。好調だった1年目から一転、苦しむが「去年いい面も悪い面も両方経験したんで、そこは強みになる」と断言した。その上で「ケガとか故障がないように、ケアだけはしっかりして臨んでもらいたい」と親心をのぞかせた。バットの構え方など試行錯誤する春。田中監督は「彼の考えもあるだろうし、楽しみです」と期待を寄せた。

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2022年2月2日のニュース