巨人・桑田投手チーフコーチの改革 「近距離ブルペン」が制球力アップの“近道”

[ 2022年2月2日 05:30 ]

桑田投手チーフコーチ(後方)が見守る中、ピッチングを行った高橋(撮影・森沢 裕)
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 【キャンプ追球 ここにFOCUS】巨人・桑田真澄投手チーフコーチ(53)が宮崎キャンプ初日から導入したのは「近距離ブルペン」。リーグ3連覇を逃して3位だった昨季に、リーグで2番目に多い520四死球と苦しんだ投手陣の課題克服へ、本来の18・44メートルからホームベースを1メートル前と2メートル前にした特設ブルペンを設置した。最大のテーマに掲げる「制球力の向上」だけでなく、期待される多くの効果。その狙いに迫った。

 6レーンあるブルペンに正規の18・44メートルが4つ。端の2レーンは1メートル前と2メートル前にホームベースが置かれた。このオフに「補佐」が取れた桑田投手チーフコーチの導入。昨季520四死球を与えた投手陣の制球力を向上させるための練習法だ。

 桑田コーチはオフから「18・44で(ストライクを)投げられないのであれば、どのぐらいなら投げられるのか。現状(の能力)を把握するのは凄く大事」とプランを温めていた。迎えたキャンプ初日。1軍投手の全11人がブルペン入りし、昨季11勝の左腕・高橋が17・44メートルのレーンに入った。内、外と10球ごとに設定したコースを狙って投げ、受けた捕手はストライクかボールを判定。2セット行った高橋は不慣れな距離もあり「(ストライクは)20球で半分ぐらい」と苦笑い。桑田コーチと「この距離でも(ストライクを)10球中8球や9球にしていくことが大事」と確認した。

 遠くの的よりも近くの的の方が狙いやすい。投球も一緒だ。ただ本来の距離感でリリースすればボールは高めに浮く。桑田コーチは常々「リリースが1センチずれたらベースでは30センチも40センチもずれる」と説明する。どこで、どう放せば思い描いた軌道でミットに収まるのか。そのためには手先でごまかすのではなく、全身を使ったフォームで感覚を覚えるしかない。高橋は「1メートルでもこんなに違うと難しさは感じた。でも逆にそれができるようになれば、もっと自分の技術が高まる」と話す。

 「こういう感覚で、こう入るんだというのを、少しずつ遠くしていくと18・44でもイメージができる」と桑田コーチ。ただ投げるだけではなく、距離に応じてリリース位置や手首の角度を調整する。それが引き出しとなり、制球力の向上にもつながる。近距離ブルペンは多くの効果が望めそうだ。(小野寺 大)

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