タイムズスクエアに「登場」の大谷 全米規模のスーパースターへ 認知され始めた能力と魅力

[ 2022年2月2日 09:00 ]

ニューヨークのタイムズスクエアで「MLB The Show 22」のカバーアスリートにエンゼルス・大谷が決まったことが発表された(撮影・杉浦 大介通信員)
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 “タイムズスクエアのカウントダウン”というと大みそかの盛大な年越しが有名だが、エンゼルス・大谷翔平投手(27)がメインのカウントダウンも実に味があるものだった。

 1月31日、大谷が米国の人気野球ゲーム「MLB The Show 22」のカバーアスリートに選定され、ニューヨーク・マンハッタンのど真ん中にあるタイムズスクエアで発表イベントが行われた。長く続く新型コロナウイルスのパンデミックで観光客が減っているのに加え、当日の気温はマイナス2度。前々日に降り積もった雪が残る中、人通りは多いとは言えなかった。それでも多くの豪華な広告看板が立ち並ぶ中、催されたカウントダウンイベントには特別感があった。

 「ここで何が行われるんですか?ショウヘイ・オオタニ?Ah!」

 発表5分前から始まったカウントダウンの途中、通りがかりの米国人が興味を示してそう尋ねてきて、興味深げにイベントを見つめていた。このように、より一般的な形で人々の目に触れることで、大谷の知名度は確実に上がってきているのだろう。

 昨季の超人的な活躍はスポーツファンを震撼させるのに十分ではあったが、米国に住んでいても、大谷の人気や知名度が急激に上がっている実感はなかった。ニューヨークでも野球ファン以外ではその名を知らない人も依然として多く、話が出ても、「野球選手の」と注釈をつけなければいけないことも頻繁だった。だから全米規模でいわゆる「大谷フィーバー」が起こっていたとは思わない。

 米国では娯楽の種類が多いこと、昨今のMLBはメジャースポーツの中でも必ずしも大人気ではないこと、エンゼルスは全国区のチームとは言えないこと、そして、大谷もスーパースター級の活躍をしたのはまだ1年のみであること、などがその要因だろう。米国人はせっかちな印象を持たれているが、国内で時差があるほど広大な土地柄もあって、全国規模のスーパースターはそう簡単には生まれないのだ。

 ただ、一方で、あくまで個人的な意見だが、その能力と魅力はより幅広い形で確実に認知され始めているようにも感じる。1月、雑誌「GQ」のスポーツ版でNBAのステフィン・カリーらと並び、大谷が表紙に起用されたことが大きな話題になった。現状ではまだ米国人スーパースターであるカリーと大谷の一般的な知名度には差があるが、それでもこれほどの有名誌の表紙抜てきはスター性の証である。それに加え、今回、世界的な繁華街であるタイムズスクエアのど真ん中で、大谷の動画が繰り返し流されたインパクトは大きかった。

 米国でのスーパースターダム入りには英会話の能力が必須と言われ、それも事実だとは思うが、大谷ほどの圧倒的な力があれば言語の違いも致命傷にはならないのかもしれない。このまま実績を積み重ねれば、大規模な露出の機会はますます増えるのだろう。もちろん今後も活躍を続けるのが絶対条件だが、大谷はおそらく米国でも真の意味で全国区のスーパースターになる途上にいる。タイムズスクエアで繰り返し流される巨大な「二刀流」の映像を見て、そう改めて感じずにはいられなかった。(記者コラム・杉浦 大介通信員)

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