日本ハム・新庄監督キャンプイン!　ド派手登場のち熱血指導「練習を試合のようにやってほしい」

[ 2022年2月2日 05:30 ]

　プロ野球の12球団は1日、2年ぶりの有観客で春季キャンプをスタート。日本ハムの新庄剛志監督（50）は横一線を強調するために沖縄県国頭村の2軍で指導者としての第一歩を踏み出した。昨年11月の就任からオフの話題を独占してきたビッグボスは、タレントから指導者モードに完全シフトチェンジ。走塁練習で実演するなど目標の「無安打で1点を取る野球」の実現に向けて熱血指導を行った。

　バラエティー番組で見せていたような笑顔はない。三輪バイクで登場し、右足だけ裾を上げるなど独特の着こなしだが、紛れもなくプロ野球の監督だった。2軍での指導を終えた新庄監督は「練習のための練習をしているような感じに見えた。試合のようにやってほしい」と1軍を目指す若手に苦言も呈した。

　オフは球団の広告塔としての意識もあってメディアに露出しまくった新庄監督。注目を集めた指導者初日の舞台をあえて2軍とし「リアル」な姿を見せた。グラウンドに入ると柔和だった表情が一変。初指導はやはり自らがこだわる走塁だ。選手を集め、就任当初から掲げる「無安打で1点を奪う」という緻密な野球を実現するため、自ら実演。スタンドのファンも見守った。

　主な指導ポイントは2つ。1つ目は「三塁タッチアップの際の離塁」だ。常識にとらわれない指揮官らしく「助走からトップスピードに持っていった方が速い」と三塁ベースを通り過ぎて後ろから助走をつけて外野手の捕球と同時にベースを蹴るタッチアップを試みたが「調べたら駄目だった」と断念。それでもコンマ数秒の削減を諦めない。体を浮かせるか、沈み込んだ状態か、どちらの体勢でスタートを切った方が速いか選手ごとにタイム測定を指令。自身に合ったスタート方法で練習するよう要望した。

　2つ目は「三塁ベースの蹴り方」だ。新庄監督は「ベースをストッパーにして白線の内側に入る練習。左前（安打）で（左翼手の送球が走者の）体に当たってくれたらラッキー」と言う。勢いで外側に膨らみがちとなる進路を、スピードが落ちても可能な限り内側とし、守備側のミスを誘発する。現役時代はゴールデングラブ賞の常連で外野手の心理を熟知する指揮官らしいアドバイスだった。

　全員が横一線。その思いを伝えるため、初日から2軍のBOSS組に来た。ブルペンでは上原、柿木らに「（開幕カードが行われる）福岡ドーム（ペイペイドーム）のイメージで」と伝えた。2日目は1軍のBIG組を視察予定。「ちょっと何かやろうかな。肩とか見たい」と予告した。

　前夜のミーティングで「楽しく、厳しく、厳しく、厳しくやっていこう」と訓示していた通り、ビッグボスが熱血指導とともに厳しさを垣間見せた。その使命は3年連続Bクラスからの逆襲。常識を打ち破る新庄改革が、いよいよ幕を開けた。（東尾　洋樹）

　◆公認野球規則5・09（c）アピールプレイ　【原注】塁の後方からスタートして、走りながら塁に触れて次塁へ進もうとするいわゆるフライングスタートは、正規なリタッチの方法ではない。このような走者はアピールがあればアウトになる。

　≪新庄ビックボスドキュメント≫▼午前9時32分　名護から自ら運転するトライク「GORDON」で国頭入り。「皆さん、食べてください」と報道陣にのどあめ150箱を差し入れ。

　▼同54分　ウインドブレーカーのフードをかぶり、右足だけ裾を上げ、左腕に時計を2個つける独特のスタイルでグラウンドに登場。

　▼10時19分　外野フェンス沿いで撮影しているカメラマンに対し「海沿いを風を切って走るのは気持ちいいな。あれ（GORDON）はただの移動車です」。

　▼同32分　走塁練習。ベースの蹴り方などを自ら手本を示し、今キャンプ初指導。

　▼11時13分　ブルペン視察。上原、柿木、育成・斉藤、新人のドラフト6位・長谷川威（金沢学院大）、同8位・北山（京産大）に次々と助言。

　▼午後0時31分　激励に訪れた知花靖国頭村長から特産品のタンカンなどを受け取る。

　▼同40分　報道陣に「ビッグボスランチがあるので食べてください」と自ら依頼したキッチンカーを運び込み、約100食分のカレーを振る舞う。

　▼1時36分　ランチを終えて球場に戻る。折り畳み椅子に座って練習を視察。守備練習を終えた後には自らトンボがけ。

　▼4時7分　トライクを運転して名護へ移動。

　▼同58分　名護到着。居残り練習を見ようと球場に現れるも、選手不在で「練習やってる？終わっちゃったの？」と一度宿舎に戻る。

　▼5時5分　再び球場へ。

　▼6時21分　コーチ陣とともに宿舎へ引き揚げる。