【内田雅也の追球】ガタガタでどう捕るか? 3失策の阪神に欲しいたくましさ

[ 2020年2月25日 08:00 ]

5回、坂口の二ゴロを失策する木浪(撮影・奥 調)
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 中米、カリブ海沿岸諸国出身の選手はゴロのさばきがうまい。大リーグでサーカスのような美技をみせるのは、そんなラテン系の内野手である。

 少年時代から石ころが転がり、雑草が生えるグラウンドで野球してきたからだ、と言われる。イレギュラーバウンドなど当たり前で自然と鍛えられるのだろう。

 実際訪れたドミニカ共和国のサンペドロデマコリスでは外野の塀に牛がつながれたグラウンドで「この子らを大リーグスカウトに見せにいくんだ」と監督から聞いた。キューバの首都ハバナのラテンアメリカ球場の外周でバックハンドで捕る少年を見つけた。土ガタガタ、草ボウボウのなか、子どもらは懸命に、明るく楽しく白球を追っていた。

 あのたくましさがうらやましい。

 阪神は24日のヤクルト戦(浦添市民球場)で内野陣が3失策をおかした。4回裏に三塁・糸原健斗、5回裏に二塁・木浪聖也、7回裏に三塁・北條史也。いずれもジャッグルなど捕球ミスで打者走者を生かした。

 原因の一つに荒れたグラウンドがある。水を向けると、内野守備走塁コーチ・久慈照嘉は「それを言っては……」とためらった。確かにグラウンドのせいにするのは潔くない。懸命に整備する人びともいる。それでも、後に正直に話した。「選手をかばうわけではないが、試合前から気になっていた。こんな固いグラウンドで練習したことないから」。同じ沖縄でも阪神キャンプ地・宜野座は阪神園芸が手入れしており、実に美しい。

 相手ヤクルトはこの浦添がキャンプ本拠地。連日練習している。それでも広岡大志が9回表、三ゴロをファンブルし、同点の端緒となった。やはり難しいのだ。

 だが、中米ベネズエラ出身の新外国人アルシデス・エスコバーは難ゴロをさばいていた。大リーグ・ブルワーズ、ロイヤルズでゴールドグラブ賞を受け、最多補殺も記録、オールスターにも選ばれた名遊撃手である。6回表に失策があるが、好捕の後の送球ミスだった。デコボコでも、カチカチでもグラブさばきは平然としていた。

 久慈は「スローイングのミスはない。結局はハンドリングの問題。やることは分かっている」と話し、コーチらしく前を向いた。

 少し気になったのは守備位置変更である。糸原二塁→三塁、木浪遊撃→二塁→遊撃、北條遊撃→三塁、熊谷中堅→二塁……と変わった。複数ポジションを守れるのは強みだが、戸惑いはないだろうか。久慈は「いや、うまい者はどこでも守る」と話した。「オープン戦とはいえ、われわれは今はまだキャンプととらえ、いろいろ試している段階だから」

 昨季リーグ最多102失策の守備力向上は必須課題だが「甘いと言われるかも知れないが、僕は選手を信じています」。

 何度か書いてきたが、ミスを「許す」監督・矢野燿大は試合後、ミーティングで「エラーをしたのをどうするか。グラウンドのせいや、打球が難しかったのを理由にしたって、うまくなることない」と話したそうだ。「あれをどう捕れたか。次どうするんやということの方が大事やと思う。ファンの人はモヤモヤしているかもしれないけれど、前を向いて練習していければいい」

 そう、また練習すればいい。ドミニカやキューバで見た子らのように、楽しく練習すればいい。      =敬称略=
     (編集委員)

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