阪神・球児、若虎に示す“道標” 30日から巨人戦 来季以降のV争いへ「いい予行演習になる」

[ 2019年8月28日 05:30 ]

笑顔で練習を見守る矢野監督(撮影・大森 寛明)
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 阪神・藤川球児投手(39)が27日、残り24試合へ向けて“優勝争い”の気構えを説いた。長期ロード明けの甲子園初戦だった中日戦が雨天中止となり、28日へ仕切りなおし。30日からは優勝マジック点灯中の巨人を本拠地に迎える3連戦も控え、来季終盤の優勝争いをイメージしながら今季を戦い抜くことを誓った。

 どうあがいても、残り24試合だ。逆転でのクライマックス・シリーズ(CS)進出へ4位につけ、これからは単なる1試合とは重みが違う。重要な局面を迎えるにあたって藤川は独特の切り口で現状を捉え、ファイティングポーズを取ることを宣言した。

 「状態のいい選手はこれまで通り変わらずやるべきだし、新人の選手たちとか、経験の浅い選手にとってはCS争いというより、次(30日から3連戦で)はジャイアンツもあるし、いい予行練習にはなる。自分たちが成長するためのね」

 予行練習――。その言葉が意味するものは、チームにとって究極の目標だった。

 「うちは今、優勝を争っているわけではないので。だけどチーム自体が若いのでね。来季以降、ジャイアンツと競って、この時期が来ていたらってことを考えると、気持ちも上がると思うし」

 チームとして果たさなければいけないのは、リーグ優勝、その先の日本一に他ならない。マジック点灯の巨人とは差が開き、最短で9月5日にも優勝の可能性が完全消滅する。そんな状況に置かれても、近い将来繰り広げるであろうペナントの覇権を争う「伝統の一戦」をイメージしてグラウンドに出る。想像するだけでヒリヒリするような1球、1打席を思いながらプレーすれば、今季の戦いが何物にも代えがたい経験となる。

 「来季、そういう(優勝争いの)状態で来た時に精神状態を知っておくことは重要になる。普通の1試合として送らないことは重要」。どれも若手に向けられた言葉だ。近本、大山、梅野、高橋遥、青柳…。次代を背負う者たちに示した“道標”のように聞こえた。

 ドリスに代わって7月下旬から抑えを務め、9度のセーブ機会をすべて成功するなど安定感は群を抜く。矢野監督も「自分がどうなろうが、チームのためになることを体現してくれている。困れば困るほど、頼る部分は出てくる」と全幅の信頼を置いた。

 「自分としては、あと1カ月ぐらいをいいコンディショニングでできるように。シーズンの終わりは、より強く終わることを意識してる。シーズンの終わりを強く、最後の一歩を踏めるようにっていうのはチームとして大事」。目の前の安打、1勝が輝ける未来につながる――。希代の守護神はそれを知っている。(遠藤 礼)

○…藤川はドリスが登録を外れた7月26日から抑えを務め、ドリスが復帰した8月20日以降も継続中。この間登板10試合で計10回2失点、防御率1・80で9セーブをマークしており、セーブなしは0―0の延長12回に登板した8月13日の中日戦(1イニング無失点)だけ。セーブのつく場面では役目を完璧に果たしている。8月は4試合を残して7セーブ。月間10セーブなら自身の07年7月、11年8月、呉昇桓オスンファンの14年7月、ドリスの17年4月に並ぶ球団記録で、新記録の月間11セーブも狙える。

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