興国―静岡商メモリアルゲーム開催 1968年夏の甲子園決勝で投げ合った両エースが50年ぶりに再会

[ 2018年8月2日 19:09 ]

メモリアルゲーム   興国―静岡商 ( 2018年8月2日    興国高グラウンド )

興国―静岡商のメモリアルゲーム。握手をする丸山朗氏(右)と新浦寿夫氏
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 1968年夏の全国高校野球選手権大会で決勝を戦った興国と静岡商の両校が2日、大阪府枚方市の興国高校グラウンドで「メモリアルゲーム」を開催した。

 始球式を終えた両雄が、空白の時を埋めるように固い握手を交わした。第50回記念大会から、今年で丸50年。第100回記念大会という節目を迎えたこともあり、興国と静岡商が再び顔を合わせた。

 「こういう機会をつくっていただき、本当に感謝したい。50年ぶりの再会ですが、互いの距離が近く感じられるのは野球がもたらす良さでしょう」興国のエースだった丸山朗氏は、しみじみと言葉をつないだ。

 前夜の懇親会で静岡商の主戦を務め、巨人などで活躍した新浦寿夫氏と50年ぶりに再会。甲子園の決勝で投げ合った当時の思い出話に花を咲かせ、この日を迎えた。

 笑みをたたえた新浦氏は言う。「企画をしていただいた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。あのとき、ゲームが終わって握手をせぬまま別れたのですが、それがきょう叶いました。決勝の相手と再会できたのは、野球の神様がくれたプレゼントです」

 午前9時すぎから始まったセレモニーでは両校の校歌斉唱に続き、興国・草島葉子理事長兼校長が「今回、静岡商業さんをお迎えして、もう一度、真っ白な気持ちになって、甲子園を目指していただきたいと思います」と両チームのナインに語りかけた。古豪復活は関係者のみならず、高校野球のオールドファンも熱望する。

 高校球史に燦然と輝く、あの夏――。激戦の大阪を勝ち抜き夏の甲子園初出場を遂げた興国は、右下手投げ丸山の快投で勝ち上がった。初戦の金沢桜丘を完封すると、そこから3試合連続完封。準々決勝・三重戦の3回に1点を失ったが、5試合を1失点に封じ決勝へ進んだ。静岡商戦も新浦との息詰まる投手戦となったが、わずか3安打で完封。準決勝までの5試合45イニングで2失点(自責1)という左腕に1―0で投げ勝ち、全国制覇を果たしたのだった。

 「1回は勝ちたいな、と。無欲の中で、力以上のものが出たと思う。いろんな要素がないと頂点には立てない。バックがよく守ってくれたし、守り抜いての勝利。あれから50年経ったけれど、生涯一の感激を味わえたと、いま改めて思いますね」

 丸山氏が自宅に保管していた「KOKOKU」のユニホームを身にまとったのは、卒業後初めてのことだった。始球式を終えた後は新浦氏とともに、バックネット裏から後輩たちの戦況を観戦。当時、静岡商の「3番・右翼」として出場した元中日・藤波行雄氏も駆けつけ「50年前がよみがえる。今もあの夏は私の原動力。再び試合ができて、これほどありがたいことはありません」と感無量の面持ちを浮かべた。

 興国は1975年夏、静岡商は2006年夏を最後に、それぞれ甲子園から遠ざかる。今夏の地方大会では興国が2回戦、静岡商が準々決勝で敗退。夢の続きは、新チーム以降に持ち越された。

 メモリアルゲームでは静岡商が12―8で興国を下し、50年前のリベンジを果たした。静岡商・高田晋松監督が「歴史を感じます。これを機に両校が再び甲子園で対戦できるようになれれば」と言えば、興国・林信太朗主将は「新たな歴史を築いていきたいです」と前を向いた。

 「技術、精神力の両方がないと勝てない。常に甲子園でプレーすることを目指して頑張ってほしい」。両校がやがて聖地へたどり着くことを願い、丸山氏はエールを送った。

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