【宮崎】響いた勝利の雄叫び 選手よりも熱かった延岡学園・重本監督

[ 2018年8月2日 08:00 ]

第95回大会準決勝   延岡学園2―0花巻東 ( 2013年8月21日    甲子園 )

<延岡学園・花巻東>9回1死、花巻東・太田を三振に仕留め、雄叫びを上げる延岡学園先発・横瀬貴広投手。3安打無失点で完封勝利
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 【スポニチ社員が選ぶわが故郷のベストゲーム】この夏、全国高校野球選手権大会は100回目。ふるさとチームの甲子園での活躍に熱くなった記憶を、北北海道から沖縄まで、今夏の代表校数と同じ56人のスポニチ社員がつづります。

 延岡学園の背番号「1」を背負う横瀬貴広が投じた125球目。花巻東・山下のバットが空を切り、宮崎県勢春夏通じて初の決勝進出を決めた瞬間、一塁側ベンチから雄叫びが響いた。声の主は延岡学園・重本浩司監督。

 当時31歳の青年監督だったが、とにかく「熱い」指揮官だった。選手と共に、いや選手以上に感情を爆発させた。得点が入れば拳を何度も突き上げて喜び、攻撃で打者が甘い球を見逃せば悔しそうに顔いっぱいをゆがめた。

 この大会で采配がことごとくはまった。エース上米良有汰を故障で欠くも、横瀬、奈須怜斗、井手一郎の継投を駆使。準々決勝・富山第一戦では同点で迎えた9回表1死一、三塁の大ピンチをリリーフした奈須が抑えきりサヨナラ勝ちにつなげた。前述の準決勝・花巻東戦での横瀬はなんと公式戦初先発だったが、見事完封で応えている。

 監督と共に甲子園を楽しみ抜いた「延学」ナインが宮崎県民悲願の優勝へ挑んだ決勝戦・前橋育英戦。大会防御率0・36を誇った高橋光成(現西武)に対し、4回に3点を先取。県民の誰もが優勝を見た瞬間だった。

 しかし直後の5回。1点を返され無死一、三塁。井手にスイッチするも同点を許し、7回には幾度もチームを救った奈須が決勝点を許した。最後の最後で重本監督の継投が、執念が届かなかった。

 「すべて監督が悪い。勝たせてあげられなくて、選手たちに本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」。重本監督はそれまで同様、選手とともに、いやそれ以上に泣き、嗚咽(おえつ)を漏らしながら声を絞り出した。

 選手だけではなく、監督もまた甲子園の主役だ。

 ◆戸田 昂文(東京本社編集センター)2016年入社。母校・日向学院は今夏5回コールド敗退。

 <宮崎データ>

夏の出場 59回(通算52勝59敗)

最高成績 準優勝1回(延岡学園=2013年)

最多出場 都城、日南学園(8)

最多勝利 日南学園(8)

出場経験 22校、うち未勝利7校

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