第2の人生すらよぎっていた松田 “栄転”を願う

[ 2018年8月2日 09:30 ]

ソフトバンク入団会見で「熱男」ポーズを決める松田遼馬
Photo By スポニチ

 居酒屋でウーロン茶を飲みながら、突然、ボソっと漏らしたことがあった。「何したら良いと思う? 飲食店やってる人、多いよね。球団に残ってる人も居るか」。冗談交じりの自虐だ。だが、わずかに、「不安」という名の本音が混ざっているようにも感じた。

 7月26日にトレードが発表され、現在はソフトバンクホークスの一員として戦う松田遼馬。セカンドキャリアについて話していた冒頭のくだりは、まだ今季開幕直後、4月のことだった。

 1年目の秋季キャンプでMVPに指名され、期待を受けた翌13年には27試合に投げて注目を集めた。5年目の16年は22試合登板の防御率1・00で、セットアッパー候補への名乗りを上げた。しかし…、翌年から調子が上がらず、今季は開幕2軍スタート。「投げるところがないな…」。1軍ブルペン陣の層は厚く、“居場所”を失っていた。

 そんな矢先に発表されたトレード移籍だった。ファンは寂しさに暮れ、同僚達にも衝撃が走っていた。松田本人が知ったのも当日の朝という、まさに電撃移籍。午後に開かれた会見では開口一番、「ビックリしています」と口にしていた。

 ただ、3年間取材してきた記者から見ても、松田の表情に「落胆」の色は見えなかった。むしろ、その目には力がみなぎっていた。少なくとも、ウーロン茶片手に弱音を吐いていた“あの時”とは別人だった。

 移ったのはあのソフトバンクホークスだ。球界屈指の巨大戦力を誇る球団だから、松田にチャンスが来るかどうかはわからない。しかし、『ある程度、想像できてしまっていた阪神球団での未来』より、『どうなるかわからない挑戦』を、『先の読めない未来』を、心のどこかで求めていたんじゃないかな、と勝手に思っている。

 「僕も地元が九州で、凄く強いイメージもあります。投手陣の層が厚いので、その中に割っては入れるようにがんばります」

 そう話す松田の目には、やっぱり、力がみなぎっていた。短い期間ながら関わった1人の人間として、“栄転”になることを願っている。(巻木 周平)

続きを表示

「第101回全国高校野球選手権大会 各地区結果」特集記事

「第90回(2019年)都市対抗野球大会」特集記事

2018年8月2日のニュース