彦根東・高内 21世紀生まれ初弾 超短尺バットで8回逆転3ラン

[ 2018年3月29日 05:30 ]

第90回選抜高校野球大会第6日・2回戦   彦根東4―3慶応 ( 2018年3月28日    甲子園 )

<慶応・彦根東>8回2死一、三塁、超短尺バットで逆転3ランを放つ彦根東・高内
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 2回戦3試合が行われ、彦根東(滋賀)は慶応(神奈川)に4―3で競り勝ち、9年ぶり4度目の出場で待望の初勝利を挙げた。文武両道の伝統校同士による一戦は、1点を追う8回に主将の高内希(のぞみ)捕手(3年)が逆転3ラン。21世紀生まれの球児として、春夏通じて甲子園初本塁打となった。同じ滋賀代表の近江、乙訓(おとくに=京都)も3回戦に勝ち進んだ。

 主将としての責任感。捕手として逆転を許した悔しさ。高内はこみ上げる思いとともに、打席に向かった。

 「自分がここで決めてやる」。逆転された直後だった。1点を追う8回2死一、三塁から左翼ポール際に叩き込む。2001年2月19日生まれ。「最高の気分」と振り返った逆転3ランは21世紀生まれの選手として甲子園初本塁打だ。「僕たちにしかない権利。打ってみたい」。大会前の言葉を実現させた。

 昨秋から不動の4番も大会前から極度の不振に陥った。村中隆之監督は「負担を軽くしたい」と6番で起用し、高内も勝負に出た。第1打席で生井の直球に差し込まれると、84センチのバットをほとんど手にしたことがない80センチのものに替えた。「超短尺バット」が効果を発揮する。2打席目から3安打を放った。

 8回は内角攻めに遭った。2―2と追い込まれ、6球目の直前。生井が捕手のサインに首を振る。元投手の高内は「自信を持っている内角直球で来る」と狙い通りの一球を仕留めた。投手経験を生かした洞察力。さらに「内角を打つには短いバットの方がいい」という狙いが的中した。

 昨年6月末に投手から捕手に転向し、昨夏の甲子園大会中は残留組のチームをまとめてきた。「新チームでセンバツに行くためには自分がやらなければと覚悟を決めた」。県内屈指の進学校で部員たちは毎朝1時間の「朝勉」に取り組む。創部は1888年の慶応に対し、1894年。彦根東が文武両道を貫く伝統校対決を制した。

 甲子園初勝利を挙げた昨夏に続いて、今春も初戦突破だ。主将は「目標である(同校初の)2勝以上を達成したい」と、力強く言った。

 ◆高内 希(たかうち・のぞみ)2001年(平13)2月19日生まれ、滋賀県出身の17歳。小1から安土野球スポーツ少年団で野球を始め、中学では滋賀野洲ボーイズで投手兼外野手。彦根東では1年秋からベンチ入り。尊敬する人物は孔子。1メートル76、76キロ。右投げ右打ち。

 《08年以来10年ぶり》彦根東と近江が勝ち、滋賀県勢は甲子園大会通算50勝目(春19、夏31)。21世紀枠で選出された膳所(滋賀)は敗れたものの、一般枠で選出された近畿勢が全て初戦突破するのは08年以来10年ぶりとなった。

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