藤井竜王 2段ロケットを封じ手前に発射 広瀬は低態勢から桂を打ち込む

[ 2022年11月8日 19:00 ]

立会人の小林健二九段(左)に封じ手を手渡す広瀬章人八段(中央は藤井聡太竜王)(代表撮影) 
Photo By 代表撮影

 藤井聡太竜王(20)=王将、王位、叡王、棋聖含めて5冠=が挑戦者に広瀬章人八段(35)を迎える第35期竜王戦7番勝負第4局は8日、京都府福知山市の福知山城天守閣で1日目が始まり午後6時、広瀬が66手目を封じて1日目が終了した。先手藤井で戦型は今期3度目の角換わり。封じ手の局面は中盤の佳境を迎え、緊迫感に満ちている。

 対戦成績は藤井の2勝1敗。駒割りは桂香交換で藤井が香、広瀬が桂を入手。藤井は51手目に馬をつくり59手目、飛車の前に香を打って2段ロケットを完成させた。飛先の歩交換から65手目、香を走ってロケットを発射させた。広瀬は低い態勢から入手した桂を藤井陣に打ち込み、圧力を加えた。

 連盟常務理事の井上慶太九段(58)は初手に立ち会い、攻め合いを指向する両者の姿勢を感じ取った。藤井が指した昼食休憩前の55手目。歩を5段目へ突き上げ、広瀬陣の急所を突いた一手から前例を離れた。広瀬は36手目。最近の角換わりでは珍しく右金を2段目ではなく3段目へ上がった。

 以降、19手踏襲された前例から離れた55手目について、「(棋士らが集う)控え室での評価も高かった。藤井さんが指された手は全棋士の共有情報になります」。その影響力を物語り、藤井とのタイトル戦で再び光を当てた広瀬の金上がりも「この戦型が復活するきっかけになるかもしれない」とした。

 広瀬に関しては2手目の手つきに決意を感じ取った。勝率的に若干不利な後手番ながら、負ければ後がなくなる第4局。手が震えているように映り、「気合いが入っている。少し高ぶったものがあるのでは?」と見立てた。その表れとして挙げたのが36手目の金上がり。「攻撃重視ですね。最近の流行はバランス型ですが、“攻めますよ”と宣言している。分かりやすいきっぱりした手」と評した。

 封じ手時点の消費時間は藤井が3時間47分、広瀬が3時間33分。2日目は9日午前9時に再開される。

続きを表示

2022年11月8日のニュース