豊川OB・内藤尚行氏 後輩の一発で思い出す34年前の“疑惑のホームラン”

[ 2024年3月20日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第2日1回戦   阿南光11ー4豊川 ( 2024年3月19日    甲子園 )

アルプス席で母校の豊川を応援した内藤尚行氏(撮影・柳内 遼平)
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 【百花らんまん】豊川の一塁側アルプス席から大歓声が上がった。1―5の8回だ。3番・モイセエフの今大会1号が目の前の右翼ポール際を通過していった。フェアかファウルか、微妙な打球。歓喜する豊川応援団の中で何とも言えない声を上げていたのが、同校OBでヤクルトなどで活躍した「ギャオス」こと内藤尚行氏(55=解説者)だった。

 「めっちゃ思い出しましたよ。目の前を通ってスタンドに入ったんですから」。思い出したとは、34年前のことだ。90年4月7日の巨人―ヤクルトの開幕戦。野村克也監督の1年目で開幕投手の内藤氏は3―1の8回1死二塁から巨人・篠塚の右翼ポール際のファウルと思われた一打を本塁打と判定され、延長戦で敗れた。「疑惑のホームラン」と騒がれた一件を機に、判定しやすくするためそれまで白色だったポールが黄色に。「ポールを白から黄色に変えたのは僕なんですよ」。その黄色いポールをかすめていった後輩のアーチを、34年前とは全く逆に心から喜んだ。

 試合は4―11で悔しい敗戦。でも、内藤氏は満足げだ。「モイセエフは新基準のバットで1号。スカウトへのいいアピールにもなったと思う」。何より初めて甲子園で母校を応援できた。母校のエンジのジャンパーを着て言った。「甲子園に来られて幸せです」。(秋村 誠人)

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