【落合×福本豊対談】偶然の副産物で投手の癖の研究を開始 各球団のエース級としのぎ削る

[ 2024年4月22日 17:20 ]

対談後に記念撮影をする落合博満氏(左)と福本豊氏(撮影・大城 有生希)
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 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(70)が22日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。大好評対談企画「博満の部屋」の第7回目として、当時世界記録だったプロ通算1065盗塁を誇る「世界の盗塁王」こと福本豊氏(76)をゲストに招いて対談を行った。

 落合氏は「話によると、三塁側からとか一塁側からビデオを置いておいてそれを研究したとかっていう話は聞きました」と振ると、福本氏は「あれは研究した。盗塁王獲った時に“何欲しい”って言われた。僕レギュラーちゃうから、いつクビになるか分からん。プロやし、ケガするかわからへんから自分の画を撮って置いときたい。俺プロにおったんやでっていうのを見せたいいうんで、ビデオくれって。それで同級生来た時にちょうどガラガラやから。スタンド、どこに行っても」と笑顔で話すと、落合氏も「パ・リーグですからね」と笑顔で返した。

 福本氏は「パ・リーグはサード行こうが、どこ行こうが、自由に行けたし。西宮球場ね。ほんならこの一塁のこの線のところで撮っといて。一応ピッチャーとあれ(自分)を。それがたまたまこう。癖とか必死に見てなかったんですよ。ああ、俺が出てる。打ってファースト行ったわって見てた時に、あっていうのが気がついて。たまたまそれやって撮ってもらったやつ見たらそれで見つけたのが、鈴木の啓ちゃん(鈴木啓示)やった」と意外なところから相手投手の癖のビデオ分析が始まったことを明かした。

 ビデオ分析によって癖を発見した福本氏は「もうこれはおいしい、おいしい。最初は何か知らんけど、俺出てるわな。ピッチャー鈴木。フォアボールが出て、けん制する。その時にテープが普通のスピードやなしにちょっと速かったんやろうね。何か速い動きやったんで、あれっと違うのあった。普通に戻して見てたら、こう(走者を)見ている時と、こう(本塁方向を)見ている時の違い。なんやこんな簡単なもんがわからんかったんかなと思って、わかったらおもしろかった」と癖を研究する楽しさに気づいたという。

 福本氏は「エースやから簡単には打てへんけど、フォアボールでも出たらありがとう1個と思ってやってましたよ。それがきっかけですね。見てたらおもしろいなと思って。それまでは目の前で試合の中でやってたからわかりやすいんやけれども、それを見て今度本当に近鉄とやる時に放る時に見たらめちゃくちゃよう分かったもん。ビデオより生の方が。あれからおもしろいなと思って、わからんピッチャーでもどっかないかなってぼけーっと見てましたね」と振り返った。落合氏は「それも財産ですよね」とうなずいた。

 鈴木氏はその後、癖を修正してきたという。福本氏は「やっぱり、さすがエースやな。あんまり走られるんで直してきて」というと、落合氏は「やっぱり直してきました?」と質問。福本氏は「多分あれやなと思ったのが、日生球場でベンチの横にバットスイング場があって、大きな鏡があって。(鈴木)啓ちゃんが練習に行った時に自分で一生懸命(フォームを見て)やってるわけや。バレたかなと思って。その後、記録がかかった時に逆でやられてけん制でアウトになった。ホームで放るやつでけん制にこられたんですよ。けん制の時にホームとか。ちょっと変えるだけでくるかわからへんと。完璧な癖やないんで。アウトになってから走れなくなりましたね」と振り返った。

 鈴木氏以外にも各球団のエース級は一度盗んだ癖を修正してきたそうで、福本氏は「ライオンズの東尾(修)もそうでしたけど。バチバチに分かっとったやつを教えたら、直らないと思っていたのがぴったし直す。ああ、あれはほんまにエースやなと。東尾なんか100%やったからね」と回想。福本氏は東尾氏に自ら癖を教えたことを後悔しているそうで「東尾は(契約)メーカーがミズノで一緒なんで、会ってる時に“福さん、どう?”と。もううるさいから教えるわと。直らんと思ったんやろうね。アホやったね、自分は。教えたらピタッと直して。それでシーズン入った時にばっちり(けん制で)殺されましたね。また(別の癖を)探しましたけどね。でも、おもしろかったですね。逆つかれたら悔しいから、またどっかないかな思ってやりましたし」と振り返った。

 落合氏は「ほとんどのピッチャーを研究しました?」と質問。福本氏は「一応、見て。わからんかったらだいたい雰囲気であるんで。あとはクイック始まった時に、ノムさん(野村克也)さんクイックさせたときに長く持って、短く持っていろいろやる。それでまたヒントを得る。ああ、間を見ときゃええでっていう。このピッチャーは、1、2、3あったら3やな、2やなとか。一応帳面書いて。いつ動くかのタイミングだけを測っていた。最初に何回かけん制してくるし。(けん制)させて、くるもんや思ってるからすんなり(ベースに)帰る。あとはいつ(本塁に)放るのかを探してたみたいな感じ」と説明した。

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