ピッチクロック エンゼルス・大谷「7秒」短縮の利 打者準備時間減で攻略困難に

[ 2023年4月1日 02:30 ]

<アスレチックス・エンゼルス>先発で6回10奪三振無失点の快投を見せた大谷(撮影・会津 智海)
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 【記者の目】大リーグの開幕戦で53年ぶりの出来事があった。2桁奪三振を記録した投手が大谷のほか、コール(ヤンキース)、ウェブ(ジャイアンツ)、シース(ホワイトソックス)で計4人。開幕戦に限れば、70年以来、史上2度目のことだという。

 まだ1試合なので結論付けるのは早計だが、理由の一つとして今季導入されたピッチクロックの影響が考えられる。投手は走者なしで15秒、ありで20秒以内に投げないとボールを宣告される。オープン戦では適応に苦労する投手も多く、投手に不利との見方が強かった。しかし、見方を変えれば打者も配球を考えたり、準備する時間が短くなるということ。2桁奪三振を記録した4人はいずれもトップクラスの投手で、奪三振率も高い。リズムよくポンポン投げられると、絶対的な決め球を持つ好投手に対応するのは難しい。

 大谷はWBCでチームを離れる期間が長かったが、ピッチクロックに完璧に対応していた。むしろテンポよく、5回終了後に球審から「打者がこっち(投手)を見てから(投げるように)」と指摘を受けるほどだった。昨季の走者なしでの平均投球間隔は21・7秒で、1000球以上投げた投手83人中、ワースト。単純計算で7秒以上の短縮は、打者も大谷相手に準備の時間が「7秒」減ったことを意味する。

 今季は投高打低の傾向を改善するために、極端なシフトも禁止となった。第2打席の右前打は昨季ならシフトの網にはまっていたはず。2つの新ルールは大谷の二刀流の能力をさらに高めるのではないか。(編集局次長・甘利 陽一)

 ≪15戦で違反14回≫開幕戦15試合では計14度のピッチクロック違反が起きた。第1号となったカブス・ストローマンは、ブルワーズ戦の3回無死二塁、イエリチを迎えた場面で宣告され、1ボール加わりカウント2―2となった。「時計も、投球も、走者も、握りも気にしなければいけない。適応は簡単ではない」と話した。レッドソックス・ディバースはオリオールズ戦の8回、カウント1―2から構えるのが遅れ1ストライク宣告され、ピッチクロック違反で三振した最初の打者となった。

 ≪平均21分短縮で即効果≫開幕戦15試合の平均試合時間は2時間45分。昨季は3時間6分で、21分短縮されたことになる。最短は2時間14分で、3時間超えは5試合だけ(最長は3時間38分)だった。オープン戦の平均試合時間も2時間35分だったように、ピッチクロックの効果は出ているようだ。

 ▽ピッチクロック 試合時間短縮のため今季から導入。投手は捕手から球を受けてから、走者なしの場合は15秒、ありの場合は20秒以内に投球動作を始めないと1ボールが宣告される。また、打者は残り8秒までに打つ準備を整えなければ1ストライクが宣告される。

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2023年4月1日のニュース