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こだわり旬の旅

【九州・佐賀】実は幕末維新のキーマンだった…肥前の国の人、技、志を知る

[ 2018年7月4日 19:00 ]

維新博のメーン会場「幕末維新記念館」の大型スクリーンに映し出される偉人たち
Photo By スポニチ

 幕末維新から150年。日本近代化への転換をもたらしたとされる薩長土肥4藩ゆかりの地域ではさまざまな記念イベントが行われているが、その中の一つ、「肥前さが幕末維新博覧会」を開催中の佐賀市を訪ねた。時代の変革に4藩の中では最も関わりが薄いと思いきや、最先端の技術や偉人を生むなど大きく貢献。同博は肥前の国の真の姿を映し出していた。

 幕末維新では脇役的存在とみられていた佐賀県。だが、JR佐賀駅から沿道に佐賀の偉人25人の等身大モニュメントが建つ中央大通りを歩いて約20分、「肥前さが幕末維新博覧会」のメーン会場、佐賀市城内エリアの3つのテーマ館を訪れると、そんな思いは一新された。

 まずは「幕末維新記念館」(入場料800円)。(1)「幕末維新」体感シアター(2)「技」からくり劇場(3)「志」ことのは結び――など4つのテーマで構成されており、大型スクリーンで佐賀鍋島藩10代藩主・鍋島直正やその下で才能を鍛えられた大隈重信、江藤新平、副島種臣ら偉人のドラマをダイナミックに描けば、西洋式大砲鋳造のための反射炉や実用蒸気船を日本で初めて製造した先進的な技術をパフォーマーの演技と映像で紹介。維新期の日本をけん引した佐賀の技術、人材、志に一気に引き込まれる。

 同館から徒歩約10分の「リアル弘道館」(同400円)は大隈らに加え佐野常民、枝吉神陽らの偉人を輩出した藩校「弘道館」を紐解くテーマ館。デジタル映像技術を駆使したコーナーではパネルの中の偉人が語り出し、当時の様子を映像やイラストで再現。生徒が実際に行っていた「習い」が体験できるミニシアターや「孟子」などを読み上げる「素読(そどく)」をデジタル判定するコーナーは、まさにリアルで楽しい。

 最後は同館そばにある「葉隠みらい館」(同)。葉隠とは江戸時代に佐賀藩士としての心構えをまとめたもので、その言葉を知ることで今をよりよく生きる“意志”を発見できるという。館内では葉隠の言葉にある「書く心得、生ける心得」を書道や華道を通してヴァーチャル体験。生き方、子育て、仕事など6つのテーマの中から1つを選び質問に答えていくと、自分に必要な言葉にたどり着く。

 3館に共通するのは遺品や資料をただ展示するのでなく、佐賀の歴史を体感映像を数多く使って迫力ある演出やストーリーで紹介し、テーマパークのアトラクションのように楽しめること。「幕末維新の“鍵”を握っていたのは佐賀だったということを知ってほしい」(維新博事務局)との思いは十分に感じられ、佐賀のイメージを変えるには格好のステージとなりそうだ。

 ▽行かれる方へ 佐賀駅からバス6分。九州佐賀国際空港からバス17分。維新博は来年1月14日まで。3館共通券は1200円。JR九州では共通券と電車乗車券(博多―佐賀間など)をセットにした“維新博きっぷ”(3060円など)を発売。問い合わせは肥前さが幕末維新博推進協議会=(電)0952(25)7504。

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