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セレッソ大阪 サクラ咲ケ

天国と地獄を経験した金鎮鉉 悲願のJ1初優勝へ、仁王立ちだ!

[ 2022年6月15日 05:30 ]

外国籍選手最多出場記録となるJ1通算333試合出場を達成した金鎮鉉(撮影・北條 貴史)
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 C大阪の選手やスタッフが思いを語る「サクラ咲ケ」。守護神・GK金鎮鉉(キムジンヒョン)(34)は5月3日の鳥栖戦でJ1外国籍選手最多となる通算334試合出場を達成した。だが、同6日の磐田戦で試合終了間際に脳振とうを負い、途中交代。J1連続試合フルタイム出場は歴代3位の181でストップした。わずか数日間で天国と地獄を味わった男が、当時を振り返った。

 大型連休の真っただ中、大観衆が詰めかけた快晴の敵地で、金鎮鉉が輝く金字塔を打ち立てた。J1外国籍選手歴代最多の通算334試合出場。09年にC大阪に加入して以降、地道に積み上げた数字に、守護神は少しだけ胸を張った。

 「Jの記録に自分の名前を残せたことはうれしい。この記録に満足せず、もっともっと、やっていきたい。これからは一試合一試合が(自分の記録を)更新することになっていく。結果を出さないといけないプレッシャーもあるが、しっかりと自分のパフォーマンスを発揮したい」

 ただ、節目の一戦だった鳥栖戦を勝利で彩ることはできなかった。1―0で迎えた後半38分、耐え抜きたい時間帯に元同僚のMF藤田直之にゴールを決められた。

 「あれはナオ(藤田)を褒めるしかない。自分の記録よりチームの勝利が一番。勝てなくて残念」

 好事魔多し、だった。試練は、中2日で迎えた6日の磐田戦で訪れる。2―1とリードした後半アディショナルタイム。ゴール前で相手選手と交錯し、左肩から地面に落下。この衝撃で脳振とうと左肩鎖関節脱臼を負い、試合終了まであと数分のところで悪夢の途中交代。連続試合フルタイム出場は、J1歴代3位の181で寸断されてしまった。

 「(脳振とうの影響で)試合後は記憶も飛んでいた。翌々日(5月8日)まで頭痛はあり、安静にしていた。周りに脳振とうで大変になった人も知っているからね。もちろん最後まで出たかったけど、記録よりも長く人生を続けることが大事。これまでいろんな痛みに耐えてプレーしてきた。肩は問題ない」

 脳振とうの復帰プログラムに沿って慎重にリハビリを続け、首脳陣とも綿密なコミュニケーションを取り、故障から8日後の同14日名古屋戦では堂々と先発ピッチへ。その試合こそ敗れたものの、21日の大阪ダービーは3―1で完勝。29日の湘南戦までリーグ戦3連勝を収め、5位に浮上。優勝争いに絡める位置まで来た。

 「開幕当初はホームでなかなか勝てなくて、苦しい時期もあったが、その中でもアウェーでしっかり結果を出して、最近はホームでも結果を出せるようになってきた。いい感じで上位争いに入っていけていると思う」

 シーズンはまだ折り返し地点。悲願のJ1初優勝へ、最大の逆境を乗り越えた背番号21が仁王立ちする。

 ◇金鎮鉉(キム・ジンヒョン)1987年7月6日生まれ、韓国出身の34歳。練習生を経て、08年12月にC大阪へ入団。09年から正GKとして出場を続け、C大阪所属選手として史上最多出場記録を更新中。元韓国代表で国際Aマッチ16試合出場。1メートル92、82キロ。利き足は右。

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