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セレッソ大阪 サクラ咲ケ

「なでしこ」宝田は「キャプテン翼の世界」のような“三刀流” 半端ないスケールの21歳

[ 2021年7月20日 05:30 ]

<サッカー女子日本代表練習>高倉監督(左)の前でシュートを放つ宝田(左から2人目は杉田)(撮影・西海健太郎)
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 C大阪の連載『サクラ咲ケ』の第18回は、東京五輪前の特別編として、C大阪堺レディース出身で、なでしこジャパンに名を連ねるDF宝田沙織(21=スピリット)を紹介する。センターバックだけでなくFW、さらにはGKまでこなす万能型。その歩んできた道のりを、同レディースの竹花友也監督(46)が振り返った。

 C大阪堺レディースで育った宝田が、大舞台に臨もうとしている。今季から米国のワシントン・スピリットに所属していた中、自身にとって初めての五輪メンバー入り。大会前最後の親善試合となった14日のオーストラリア戦にもセンターバックとして途中出場するなど、準備は整っている。

 身長1メートル70。小学生の頃から背が高かった少女が大阪にやってきたのが、12歳の時だった。堺に開校したJFAアカデミー堺に入学するため、生まれ育った富山県の立山町を離れ、寮生活を始めた。それと同時に、C大阪堺にも加入して試合に出場することになった。

 当時も監督を務めていた竹花氏は、出会った時の衝撃を今も覚えている。

 「GKも含めて、いろんなポジションをしていて。男子にもいないような、まさにキャプテン翼の世界のようだった。何でもできるイメージだった」

 どの位置でもこなせて、かつ凄い。13年からなでしこチャレンジリーグに参戦したチームで、竹花監督はまず最前線に据えた。「大人と戦って、点を取る。その意味でFWからスタートさせた」。10歳以上も年の離れた選手との対戦ながら、それでも光るモノを見せる。当時の宝田のあだ名は「宇宙人」。想像できないようなプレーをピッチで見せるからだった。

 順調に成長を続け、19年に初めてなでしこジャパン入り。昨季途中からはチーム事情もあって主にセンターバックとしてプレーした。「両足ともキックが良いし、足も速くカバーリングも良い。“センターバックやったら(また)すぐに、なでしこジャパンに入れるぞ”と言ったのを覚えていますね」。その言葉通り、宝田のプレーを代表の高倉監督は高く評価し、DFとして五輪メンバーに選出した。

 今大会はセンターバックでの出場が基本となりそうだが、ポジションを固定しなかった竹花監督は“二刀流”としての飛躍を願う。

 「野球の大谷くんじゃないけど、両方できる選手がいても面白い。前と後ろの両方をやって、日本を引っ張っていってほしい」

 DFとFW、そしてGKも含めれば“三刀流”だ。半端ないスケールを誇る21歳が、期待を背負ってピッチに立つ。

 ◇宝田 沙織(たからだ・さおり)1999年(平11)12月27日生まれ、富山県中新川郡立山町出身の21歳。富山市のFCひがしジュニアでサッカーを始め、12年からC大阪堺レディースに在籍。昨年12月にワシントン・スピリットへの完全移籍が発表された。なでしこジャパンでは通算8試合出場1得点。1メートル70、59キロ。利き足は右。

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