月組・珠城りょう 〝去りゆく者の美学〟目に焼き付けたい

[ 2021年3月21日 15:00 ]

トレンチコートの着こなしも抜群の珠城りょう
Photo By スポニチ

 8月15日に退団する月組トップスター、珠城りょうのプレサヨナラ公演「幽霊刑事(デカ)~サヨナラする、その前に~」が兵庫・宝塚バウホールで開幕した(23日まで)。

 原作は人気作家・有栖川有栖氏(61)の傑作ミステリー。理由も分からぬまま射殺された神崎刑事(珠城)が幽霊になり、唯一自分の姿が見え、声が聞こえる霊媒体質の同期の早川(鳳月杏)とタッグを組み真相に迫っていく。

 劇団きっての演技派で、新人公演時代に苦楽をともにした鳳月とのやりとりはテンポも絶妙で客席からは笑いも。一方で“男役泣かせ”とも言われるスーツやトレンチコートの着こなしは絶品で、男役として恵まれた体格の珠城にはよく似合う。

 さらに、事件が解決すれば神崎の姿は完全に消える――。「愛する人のため、消え去ることもまた、愛」と随所に「去りゆく者の美学」がちりばめられ、退団を控えた珠城の姿とダブってファンの胸に突き刺さった。これが終わればいよいよサヨナラ公演。常に存在感を示してきた珠城の最終章も目が離せない。(土谷 美樹)

 ◇珠城 りょう(たまき・りょう)10月4日生まれ、愛知県蒲郡市出身。光ヶ丘女子高を経て08年初舞台。月組配属。10年「スカーレットピンパーネル」で新人公演初主演。16年9月、トップスター就任。身長1メートル72。愛称「りょう」。

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