雪組・和希そら 得意のダンスは完全封印、危険な香りをまとう男役へ

[ 2022年7月30日 05:30 ]

雪組・和希そら
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 雪組の男役スター、和希そら主演のミュージカル「心中・恋の大和路」が8月3日、東京・日本青年館ホールで開幕予定だ(9日まで)。大阪のシアター・ドラマシティ公演は千秋楽までの3日間、公演関係者から新型コロナウイルスの陽性者が出たことで中止となったが、開幕からそのはかない美しさがファンのため息を誘った。

 原作は近松門左衛門の世話物「冥途の飛脚」。歌舞伎や文楽でも人気の名作で、宝塚でも1979年、瀬戸内美八主演の初演から剣幸、汐風幸、壮一帆とその時代の芝居巧者が上演を重ねてきた。遊女・梅川に入れあげたあまり、ご法度の封印を切り破滅へと落ちていく忠兵衛の心情を細かく表現した。今回はフィナーレもなく、得意のダンスは完全に封印しての公演。それだけに持っていきようのない悲しみが、いつまでも胸に残る。

 宙組時代「アナスタシア」の女役でも抜群の存在感を放ち、昨年4月には竹久夢二を描いた「夢千鳥」で鮮烈のバウホール主演。その実績を手に昨年12月に雪組に加入した。はつらつとした若手男役から、今や危険な香りをまとう男役へ。ますますの活躍が期待される。 (土谷 美樹)

 ◇和希 そら(かずき・そら)10月5日生まれ、岡山県出身。岡山市立旭東中を経て10年初舞台。宙組配属。14年「ベルサイユのばら―オスカル編」で新人公演初主演。昨年12月、雪組に組替え。1メートル68。愛称「そら」。

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